2022年2月12日掲載
約520名あまりが視聴、現場の関心の高さがうかがわれるセミナーとなる
(公財)国際医療財団、新型コロナウイルス感染症 感染対策セミナーを緊急開催

はじめに、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部クラスター班のメンバーである小坂 健氏(東北大教授)が「COVID-19への対応 オミクロン株へどのように対応すべきか」と題して講演。オミクロン株の特徴として、感染サイクルは2日程度、潜伏期間は3日程度と従来株より期間が短い、肺では増殖しにくいが上気道で増殖しやすい、無症候性感染、家庭内感染が多いなどの特徴を紹介。低いとされる重症化率については、ワクチン2回接種者などが増えた現在では以前と同じ条件で比較するのは困難なものの、まったく接種していない人でデルタ株の75%程度の重症化率とのデータを示し、けっして低いものではないと説明した。実際の対応として各種研究・論文データを示しながら、N95など高性能マスクの利用、換気の徹底や空気清浄機の活用、高齢者などへのブースター接種の推進、人数制限の徹底などを紹介し、オミクロン株の特性を知ったうえで行うことの重要性を述べた。
続いて、瀬島俊介氏(バイオメディカルサイエンス研究会理事長)より「洗口液による新型コロナウイルス感染症予防」と題し、歯科診療前の含嗽と洗口によるうがいが有効で重要であること、里村一人氏(鶴見大教授)より「微量唾液を検体としたSARS-CoV-2迅速スクリーニング検査開発の現状」と題し、開発中のハンディサイズのPCR検査装置について既存の大型のPCR検査機器と同様の精度で検出可能な段階まで進捗していること、高橋 哲氏(東北大教授)より「口腔・顎顔面領域におけるCOVID-19の感染対策」と題し、日本口腔外科学会「口腔外科手術に関する指針(第2版)」掲載のクリニカルクエスチョンに即して推奨される対策を解説するとともに、自施設での研究により口腔外バキュームが飛沫拡散の抑制に効果的であったこと、などが報告された。
最後に瀬戸氏の司会のもと、質疑応答が行われ、視聴者から今後の見通しや現場での対応など多数の質問が寄せられ、予定時間を大幅に超えてのセッションが繰り広げられた。
本セミナーは受付開始から2週間ほどの短期間での開催であったにもかかわらず多数の参加者が集い、現場における関心の高さがうかがわれた。口はウイルスの侵入門戸であり、口腔領域を担う歯科関係者の感染防御のために果たす役割は大きく、引き続き情報発信などによる本財団の積極的な取り組みが期待される。
[●は日へんに完]