社会|2024年10月28日掲載
「歯科技工士の未来!再発見!~新潟宣言を受けて~」をテーマに
千葉県歯、「歯科技工士の人材確保対策事業」東京シンポジウムを開催
さる10月27日(日)、歯科医師会館において、令和6年度厚生労働省補助事業「歯科技工士の人材確保対策事業」東京シンポジウム(千葉県歯科医師会主催、千葉県歯科技工士会共催、東京都歯科医師会/東京都歯科技工士会後援)が「歯科技工士の未来!再発見!~新潟宣言を受けて~」をテーマに開催された。本シンポジウムは、2023年11月5日に開催された新潟シンポジウムにて出された新潟宣言を受けて開催されたもの。
会場では、大河原伸浩氏(千葉県歯科医師会会長)による主催者挨拶や来賓紹介が行われたのち、鈴木哲也氏(東京科学大名誉教授)による基調講演「今変えずしてどうする、歯科技工士の未来」が行われた。
鈴木氏は、講演の中で歯科技工士養成校や国家試験合格者数の減少をはじめ、歯科技工士が減少した原因として経済問題や職場環境、仕事のやりがい、歯科技工士の認知度の低さを挙げた。少子高齢化による人口減少社会のなかで歯科技工を取り巻く課題を解決するための方向性として、デジタル化による効率化と医療連携への積極的な参画が収入増につながるとし、後者については、現行制度(歯科技工法第20条)では実施できない歯科技工業務の法改正(診療補助)とそのための教育の必要性を訴えた。
その後、井上惠司氏(東京都歯科医師会会長)による座長のもと、大坪真実氏(厚生労働省医政局歯科保健課課長補佐)、小椋正之氏(同医政局歯科保健課前課長)、大島克郎氏(全国歯科技工士教育協議会会長)、赤川安正氏(広島大名誉教授)、大川周治氏(明海大臨床教授)、鈴木氏、山下茂子氏(日本歯科技工士会副会長)、秋元秀俊氏(医療ジャーナリスト)、大河原氏、砂川 稔氏(千葉県歯科医師会歯科技工士プロジェクトチーム委員長)によるシンポジウムが行われた。シンポジウムでは、新潟宣言の報告・経緯をはじめ、厚労省検討会や審議会の進捗状況、歯科技工士の業務拡大の必要性など、多岐にわたる協議事項が出され、シンポジストそれぞれの立場の意見のみならず会場の参加者からも積極的な発言がなされるなど、関心の高さがうかがえた。
なお、24日に開催された日本歯科医師会(以下、日歯)の定例記者会見において、日歯は国民に対する安全な歯科医療提供を担保する必要性を挙げ、法改正を含めて慎重な姿勢を示している。しかし、歯科技工士の就業者数が年間1,000名規模で減少している状況のなか、今回シンポジウムで議論された課題への対応は急務であり、歯科界全体はもとより歯科医療従事者一人ひとりが自分事として考える必要があるだろう。