学会|2025年5月27日掲載
「Science に基づいた『美ら』歯周治療」をテーマに
日本歯周病学会、第68回春季日本歯周病学会学術大会を開催
さる5月23日(金)、24日(土)の両日、那覇文化芸術劇場なはーとおよびホテルコレクティブ(沖縄県)において、第68回春季日本歯周病学会学術大会(岩田隆紀大会長、吉成伸夫理事長)が「Science に基づいた『美ら』歯周治療」をテーマに掲げ開催され、約2,100名が現地に参集した。本大会では2日間にわたり、特別講演、シンポジウム、日本歯周病学会・韓国歯周病学会調印式、韓国歯周病学会理事長講演、教育講演、医療安全委員会企画講演、学会学術賞受賞記念講演、市民公開講座、口演発表、ポスター発表、ランチョンセミナー、スイーツセミナー、モーニングセミナーなど、充実したプログラムが組まれた。
1日目に行われたシンポジウム2「歯周治療における歯列矯正治療」では、吉野宏幸氏(埼玉県開業)、工藤 求氏(東京都開業/東京科学大学)、土岡弘明氏(千葉県開業)、綿引淳一氏(東京都開業)が登壇した。なかでも、吉野氏は、「Perio Ortho Synergy ~歯周-矯正治療と硬組織、軟組織の再生~」の演題で、現在歯周病学のなかでも新たな分野として注目されている歯周-矯正治療のアプローチの有効性と今後の可能性について紹介。歯周組織再生療法後の早期の歯体移動や圧下は相乗効果(Perio Ortho Synergy)が期待できると述べた。
2日目に行われた特別講演4では、小野善弘氏(JIADS〔The Japan Institute for Advanced Dental Studies〕主宰/アメリカ歯周病学会名誉会員)が「『我々の臨床を振り返って』~Longevityを求めて~」と題し登壇した。「歯科医師の使命は患者の生涯にわたる歯列の確保」とし、「Longevity(治療結果の永続性)」「Cleanability(患者自身が清掃しやすい状態)」「Maintenability(術者がメインテナンスしやすい状態)」の重要性を述べ、故・中村公雄氏とともに歩んだ50年にわたる歯科医師人生を熱く語った。
また、歯科衛生士シンポジウム「歯周基本治療アップデート」では、木下淳博氏(東京科学大学)、田熊麗美氏(歯科衛生士、木村歯科)、篠永美佳氏(歯科衛生士、デンタルクリニックK)が登壇。田熊氏は、「超音波スケーラーによるスケーリング・ルートプレーニングの実践 ~使用方法と効果について~」の演題で、超音波スケーラーの使用について注意すべき点と使用方法について解説し、歯周病患者において超音波スケーラーを使用することでどの程度の治療効果が得られたのかをケースを供覧しながら紹介。氏は最後に、「しっかりと基本を押さえ、超音波スケーラーの特性を理解し正しく使用することで、歯科衛生士でも歯周病を治すことができる」と強調した。
なお、本大会の内容は、オンデマンド配信にて2025年6月17日(火)から7月31日(木)まで、配信される予定である。
次回第68回秋季日本歯周病学会学術大会は、きたる2025年10月17日(金)、18日(土)の両日、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟県)において、多部田康一大会長(新潟大学)のもと開催予定。