社会|2025年12月16日掲載

特別講演に鹿児島大学大学院教授の奥井達雄氏を招聘

令和7年度島根県歯科医学会開催

令和7年度島根県歯科医学会開催

 さる12月14日(日)、令和7年度島根県歯科医学会(内田朋良会長)が、島根県歯科医師会館(島根県)およびWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。

 午前は、奥井達雄氏(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科顎顔面機能再建学講座顎顔面疾患制御学分野教授)による特別講演「薬剤関連顎骨壊死の治療と広範囲顎骨支持型装置」が行われた。氏は2020年から2023年まで島根大学医学部歯科口腔外科学講座で研究・臨床に従事した後、2024年より鹿児島大学に赴任したということで、今回は凱旋講演となった。

 講演では、薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)について、変遷やリスク因子、対象となる薬剤の種類やメカニズム、治療など、基本知識から最新情報に至るまでていねいに解説された。薬剤の使用量によってMRONJのリスクが変わることが注意喚起されるとともに、積極的な外科治療が予後を改善すること、特にminor surgeryと比べて比較的大きな骨切除をともなうmajor surgeryのほうが予後を改善することが近年のシステマティックレビューにより明らかになっており、治療法のパラダイムシフトが起きていることが紹介され、注目を集めた。

 午後は、会員発表が11題行われた。演題と当日の演者は以下のとおり。

「超高齢者の重症口腔顎顔面外傷の3症例」則岡翔太氏(島根大学医学部歯科口腔外科学講座)
「口腔に初発症状を呈した粘膜類天疱瘡の2例」青山拓未氏(島根県立中央病院歯科口腔外科)
「当院歯科衛生士の骨粗鬆症マネージャーとしての取り組み」樋野唯加氏(歯科衛生士、地域医療機能推進機構玉造病院歯科・口腔外科)
「切除不能口腔がんに対する光免疫療法の応用」小林真左子氏(島根大学医学部歯科口腔外科学講座)
「当科で加療を行ったスポーツに関連した口腔顎顔面外傷の臨床的検討」綾坂健太郎氏(島根大学医学部歯科口腔外科学講座)
「顎関節治療のスプリント療法の効果をCT画像の経年的変化より考える」大町健介氏(島根県開業)
「トピックスとして島根歯ブラシバンクからの報告」恒松克己氏(出雲市歯科医師会、NPO法人全国災害復興活動支援機構島根歯ブラシバンク)
「地域在住後期高齢者における口腔機能と認知機能との関連性:観察的横断研究」池淵久美氏(島根大学医学部歯科口腔外科学講座)
「地域包括ケアシステムにおける歯科の役割を考える―役割の整理からエビデンスの構築と普及啓発・施策形成に向けて―」齋藤寿章氏(益田鹿足歯科医師会地域医療対策室参事)
「おーい救急車、~我々開業医の最期の盾を知ろう~」白上憲和氏(島根県開業)
「『歯科医療提供体制維持に向けての中国5県調査』から見た浜田圏域の実情と考察」永井健夫氏(島根県歯科医師会医療管理部)

 なかでも、樋野氏は日本骨粗鬆症学会の認定資格である骨粗鬆症マネージャーについて、2024年より歯科衛生士も対象に含まれたことに触れたうえで、取得した経緯や、自院の入院患者に対してMRONJの予防や啓発を目的に続けている取り組みを披露した。

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