社会|2025年12月22日掲載
「歯科医院M&Aの常識が今、変わる」をテーマに
M&Aシンポジウム2025開催
さる12月21日(日)、M&Aシンポジウム2025(株式会社Medical Shift主催)が「歯科医院M&Aの常識が今、変わる」をテーマに、デンツプライシロナ東京・銀座ショールーム(東京都)の現地およびWeb配信にて開催された。
会場では、主催者である宮井崇行氏(株式会社Medical Shift代表取締役社長)による司会・進行のもと、講師には医療法人社団健誠会理事長の高木健一氏(愛知県開業)、丸尾勝一郎氏(東京都開業)、寄田幸司氏(大阪府開業)の3名が登壇。第1部「友好的M&Aの実践」、第2部「当事者が語る発展的M&Aとは」の2部構成で展開され、それぞれの講演後には、会場ならびにオンライン参加者を交えたディスカッション型式のシンポジウムが行われた。また、講演の合間には協賛企業によるプレゼンテーションをはじめ展示ブースでの説明も行われた。
医療法人社団健誠会に2024年に参画した丸尾氏は、経営者と臨床家を両立しながら国内外の講演活動なども精力的に行ってきたことに言及。そのうえで、昨今の人材確保の難しさや将来を見据えた歯科医院経営のあり方などを熟慮した結果、事業継承に至った経緯について披露した。また継承後の組織運営ならびに働き方の変化についてふれ、自身が得意とするインプラントに関する専門性を活かした治療に専念できるようになった環境の変化や統括院長としてスタッフ教育にも携わっていることを紹介した。日本における予防歯科の草分け的な存在の1人である寄田氏は、同法人に2025年に参画。地域での取り組みや継承に至るまでの高木氏との出会いなどについて紹介するとともに、継承による法人間での新たな人材交流や専門治療の高度化などのメリットを挙げた。
高木氏は、自身が目指す組織づくりとして、「各分野の専門家による総合治療の実現」を強調した。そのなかでそれぞれの歯科医院の特長を生かす「お互いが支え合う適材適所」の考え方を挙げ、丸尾氏のインプラント治療と寄田氏の予防歯科の専門分野が加わったことで、法人内での患者満足度や収益向上のみならず、安定した人材確保および歯科医師の専門分野に特化できる体制が構築できるとし、歯科医院のM&Aを「売却」ではなく「共創」と表現し注目を集めた。
歯科医師の高齢化や後継者不足にともない歯科医院のM&Aが増加傾向にあるなか、ややもするとM&Aに対して偏見やネガティブのイメージをもつ歯科医師は少なくない。今回のシンポジウムは、そのようなイメージを少しでも払拭するために当事者ならびに関係者が一堂に会して情報共有できる場となっていた。