学会|2026年2月24日掲載
「超高齢社会における義歯ケアと口腔機能管理」をテーマに全国から100名以上が参集
日本義歯ケア学会第18回学術大会開催
さる2月21日(土)、22日(日)の両日、愛知学院大学末盛キャンパス(愛知県)において、日本義歯ケア学会第18回学術大会(木本 統大会長、宮前 真実行委員長、山口大輔準備委員長、木本克彦理事長)が開催され、100名以上が参集した。
本大会では、特別講演、教育講演各1題に加え、一般口演が15題行われた。以下に、特別講演、教育講演の演題・演者および概要を示す。
1)特別講演「口腔機能の回復を目指した義歯型・口腔内デバイス」(中川量晴氏、東京科学大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野)
本演題では、(1)口腔機能の回復を目指した義歯型デバイス(PAP〔舌接触補助床〕)、(2)口腔内デバイス(VR〔ボイスレトリーバー〕)、(3)食事形態に関わる咀嚼機能研究、(4)食支援の新展開、の4点について解説。(1)に関しては、PAPの適応に関する概説や口蓋の形態付与の方法、またPAPが嚥下の口腔期を改善する点についてエックス線透過ビデオを提示しながら詳細に示された。また(2)に関しては演者らが開発に携わり、さる2月の「第8回日本オープンイノベーション大賞」(内閣府主催)において内閣総理大臣賞を受賞したマウスピース型人工喉頭「Voice Retriever」(東京医歯学総合研究所)について紹介。本器は、任意の人物による母音の発声を収録した音声をPAPに似たスピーカー内蔵の口腔内装置から発生させ、使用者がそれにあわせて構音することで擬似的な発声を可能にするもの。従来の電気式人工咬頭よりも自然な発声が可能であること、また今後の開発により抑揚の表現やワイヤレス化などの可能性もあるとした。そして(3)、(4)においては咀嚼機能を簡便にチェックする方法としてのライスクラッカーを用いた「Saku Saku Test」の応用や、離床時間や生活の質と食べる機能との関連性について多くの文献とともに示した。
2)教育講演「口腔機能管理は、認知症および軽度認知機能障害の先制的予防介入に寄与するのか。」(木本克彦氏、神奈川歯科大学歯科補綴学講座クラウンブリッジ補綴学分野、神奈川歯科大学附属横浜研修センター・横浜クリニック院長)
本演題では、(1)わが国における認知症患者の現状と施策、(2)認知症と口腔機能に関するエビデンス、(3)横浜クリニックにおける認知症患者の対応(症例報告)、(4)エビデンス構築のための新たなアプローチを考える(研究紹介)、(5)認知症患者の医科歯科連携への取り組み、の5点について解説。認知症および認知機能障害患者(MCI)は引き続き増加していること、口腔機能と認知機能の関連性は多くの研究報告から示唆されているものの、いまだその結論は見出されていないこと、認知症患者の対応は病態別・ステージごとに考える必要があること、「先制的予防」を含めた認知症およびMCI患者の歯科治療を進めていく上では患者自身そして家族や介護者に対しても口腔ケアの重要性について理解を深めてもらう必要性があること、そして今後はさらにエビデンスを蓄積し、すでに現場レベルでは周知されているといっても過言ではない口腔機能と認知症の関連について、ランセット国際委員会が提唱する認知症のリスク要因に追加されることを目指したい、とした。
その他、初日の閉会後には会場に隣接する愛知学院大学「月見坂テラス」にて懇親会も催され、演者および参加者が多数参加する盛会となっていた。なお、次回の第19回学術大会は、東京科学大学を主管校(金澤 学大会長)に、2027年2月20日(土)、21日(日)に開催予定とのこと。