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「日本の歯科口腔保健」の未来指針へ議論が展開

2023年11月号掲載

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社会 2023年11月号掲載

「日本の歯科口腔保健」の未来指針へ議論が展開

深井保健科学研究所

疫学や公衆衛生を専門とする大学関係者、行政関係者、臨床家が多数参集し、盛会となった。
疫学や公衆衛生を専門とする大学関係者、行政関係者、臨床家が多数参集し、盛会となった。
 10月9日(月)、TKP東京駅カンファレンスセンター(東京都)において、深井保健科学研究所第22 回コロキウム(深井穫博所長)が「日本の歯科口腔保健のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ―その光と影―」をテーマに開催され、5つのセッションが展開された。

 なかでもセッション1「UHCをめぐる内外の動向」では、深井氏の座長のもと、小椋正之氏(厚生労働省)、小川祐司氏(新潟大学)が講演を行い、その後、牧野由佳氏(WHO)がWeb配信にて講演した。小椋氏は、2025年以降の日本国内の市町村における人口増減を予測したデータを供覧するとともに、行政と開業歯科医院が実施する歯科健診の現状に言及した。

 セッション2「日本の歯科医療・口腔保険制度と健康格差」では、神原正樹氏(神原グローバルヘルス研究所)の座長のもと、相田 潤氏、松山祐輔氏(ともに東京医科歯科大学)がそれぞれ講演。相田氏は講演冒頭に「日本でもUHCは必要なのか」という疑問に回答。予防の観点から社会的背景をふまえて日本と米国の状況を比較し、異なる弱点を抱えていることを指摘した。

 セッション3「歯科医療費の課題と歯科医療の効果」では、嶋崎義浩氏(愛知学院大学)の座長のもと、恒石美登里氏(日本歯科総合研究機構)、岡本悦司氏(福知山公立大学)、古田美智子氏(九州大学)がそれぞれ講演した。なかでも恒石氏は、「日本の歯科医療費の動向と課題」と題し、過去の歯科医療費の変遷とともに新型コロナウイルス感染症の影響にも言及。耳鼻科や小児科の状況と比較しながら考察を行った。