さる3月16日（日）、シェーンバッハ・サボー（東京都）にて、5-D Japan第5回総会が開催された。毎年テーマを設定し、その分野に造詣が深い外来講師を招聘して、5-D Japanファウンダーとともに本音で症例検討する形式が人気を博しているが、今回は白石和仁氏（福岡県開業）とファウンダーの北島　一氏（静岡県開業）が「歯の保存～限界への挑戦：「そこまでやるか？」ペリオはしつこさが命」のテーマのもと講演。歯科医師ら260名が参集し盛会となった。

　症例検討会に先立ち、午前は会員症例発表が行われた。竹内公生氏（静岡県開業）による「歯周組織再生療法における術式の選択基準」、青木克行氏（東京都開業）による「インプラントオーバーデンチャーを用いたポステリアバイトコラプスへの対応とその考察」、殿塚量平氏（東京都開業）による「矯正治療とのインターディスプリナリー（第２報）」がそれぞれ行われた。なかでも殿塚氏は、矯正医と密に連携して取り組んだ難易度の高い症例を通して示唆に富んだ考察を行った。

　午後は、白石氏・北島氏による症例検討会が第1部「歯の保存へのこだわり」、第2部「再生療法のテクニック」に分かれて行われた。これは、昨今のインプラント治療の普及にともない、予後不良な歯は抜歯してインプラントという傾向がみられるが、たとえ予後不良な歯でも保存できる可能性があることを、両氏が長期症例などを通じて解説するもの。

　北島氏は、「歯周治療によって転換するPrognosis―再生療法の持つポテンシャルを知ろう」をテーマに講演。まず、「先入観が可能を不可能にする」、すなわち術者自身が早期に歯の保存の限界を設定しまうことに警鐘を鳴らしたうえで、主に再生療法にフォーカスを当てて解説。再生療法を成功に導くためのポイントを述べながら、「Prognosisも自分次第でchangeでき、患者のQOLに寄与するchanceに変えられる」とまとめた。

　白石氏は、「歯周組織再生における選択肢―錯綜する情報の中で」と題して講演。「歯を保存することが歯科医師としての使命であり、抜歯は敗北を意味する」と述べたうえで、骨膜グラフトのテクニックをイラストとともに解説。最先端の医療現場からフィードバックされる情報を基に、自身の診療環境に合わせた工夫を凝らし、古典的な術式も有効活用しながら新たな術式を模索することで、最前線の医療現場の歯科医師たちとともに、現状からは計り知れない数の歯を救うことができるだろうと述べた。

　両氏の歯の保存に対する情熱が伝わる講演に、参加した多くの若手歯科医師は熱心に聞き入っていた。