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2016年6月26日

ライオン歯科衛生研究所、LDHシンポジウムを開催

「健康寿命の延伸に向けた歯科医療の使命と可能性」をテーマに

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 さる6月26日(日)、虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都)において、LDHシンポジウム((公財)ライオン歯科衛生研究所主催)が「健康寿命の延伸に向けた歯科医療の使命と可能性」をテーマに開催された。参加者は歯科医師・歯科衛生士を中心に347名を数え、海外からの参加者が約1割を占めた。

藤重貞慶氏((公財)ライオン歯科衛生研究所理事長)の開会挨拶と、伊藤公一氏(日大歯学部特任教授)の座長挨拶の後、基調講演者のJoan Otomo-Corgel氏(アメリカ歯周病学会〔以下、AAP〕前会長)が登壇。「Systemic Implication of Periodontal Disease」と題して、歯周病と全身疾患との関連性を、世界で現在わかっている事実をもとに整理・検討した。取り上げられたのは、アルツハイマー型認知症、糖尿病、心臓病、早産、骨粗しょう症、呼吸器疾患、関節リウマチなどで、特に糖尿病については、歯周病が糖尿病を悪化させ、糖尿病が歯周病を悪化させるという双方向性があるために、歯科介入の重要性が強調された。

 次に、辻 一郎氏(東北大大学院教授)が「健康長寿を支える医科歯科連携」と題して講演。健康寿命を損ねる因子として歯周疾患を挙げ、冠動脈疾患、脳血管疾患、メタボリックシンドローム、認知症、肺炎、糖尿病などの罹患リスクを歯周病が増加させることを提示した。表題の医科歯科連携については、医科と歯科の教育・協働の場の不足と互いの無関心がネックであり、その解消には医科歯科の共同研究の活発化や、かかりつけ医科とかかりつけ歯科の連携が必要と述べた。

 続いて、天野敦雄氏(阪大大学院教授)が「生涯メインテナンスの歯科医療」の題で講演。歯周病発症のメカニズムを通して、P.g.菌をはじめとした歯周病原性細菌の特徴や、バイオフィルムの病原性の変化を解説した。現代の科学では、口腔内の歯周病原性細菌の根絶は不可能であり、歯周病の根治も不可能。だからこそ、生涯メインテナンスが重要だと結んだ。

 その後、「歯科医療の新たな使命と可能性~これからの歯科医院は何を為すべきか~」をテーマに、演者らによるパネル討論が開かれた。パネリストとして谷口威夫氏(長野県開業)、小林和一氏(東京都開業、明海大臨床教授)を迎え、両氏の症例紹介を挟みながら、糖尿病への対応や米国の歯科医療について質疑応答が行われた。