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2018年9月8日

第24回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会開催

「集い、語り、動く ~摂食嚥下の地域リハビリテーション~」をテーマに

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 さる9月8日(土)、9日(日)の両日、仙台国際センターおよび川内萩ホール(宮城県)において、第24回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会(出江紳一大会長、植田耕一郎理事長)が「集い、語り、動く ~摂食嚥下の地域リハビリテーション~」をテーマに開催され、5,700名の参加者が集まった。

 初日の会長講演では出江紳一氏(東北大大学院医工学研究科リハビリテーション医工学分野教授)が、「これからは、"患者にとっての価値を中心としたケア"が必要であり、"他職種共同"とともに、地域包括ケア構築のプロセスに組み込まれるものである」と主張。医療と介護のプロセスを患者視点で見直すために、これまで自身が行ってきた訪問リハ、医療機器の創出、多職種共同の内容について触れたうえで、本学会の趣旨を紹介した。

 2日目には「シンポジウム4 患者および家族にどのように寄りそうか?:終末期の経口摂取について考える」が行われ、歯科医師、歯科衛生士、栄養士、言語聴覚士、看護師の異なる職種の5名が登壇し、経験談とともに終末期の患者とのかかわり方が語られた。
 そのなかで、大野友久氏(国立長寿医療研究センター歯科・口腔先端診療開発部部長)は、「がん終末期の経口摂取を支える歯科的対応」の題で登壇し、約50%の終末期がん患者が死亡5日前まで経口摂取可能だというデータを示したうえで、より良い条件での経口摂取を支持することが重要だと述べた。特に、歯科は口腔ケアと歯科治療において専門性を活かせるとし、終末期がん患者における口腔状態の特徴と対応について詳説した。

 続いて歯科衛生士の高栁久与氏(歯科衛生士、聖隷三方原病院リハビリテーション部)が「がんの終末期における経口摂取サポート~DHの立場から~」と題して、登壇。限られた時間の中でその人らしく過ごせるようにサポートするために「患者のニーズ」「家族のニーズ」「医療者のニーズ」に対応しながら、経口摂取が可能なタイミングで経口摂取が可能な口腔内に整えていく重要性が語られた。特に終末期患者の特徴として挙げられる「家族のつらさ」に対しては、口腔ケアや経口摂取など「患者にしてあげられること」をつくること、「医療者のより良いケアをしたいという想い」に対して、他職種では対応困難なものに専門的アプローチをしていくことが強調された。

 各職種の専門性が明確に示され、お互いがどのように協同して患者さんとその家族と向き合っていくべきか、また、多職種連携のヒントが示されたシンポジウムとなった。

 なお、次回の第25回大会はきたる2019年9月6日(金)、7日(土)の両日、朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟県)において菊谷 武大会長(日歯大口腔リハビリテーション多摩クリニック院長)のもと「食べるを支える~地域リハビリテーションの今・未来~」をテーマに開催予定。