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2019年11月14日

歯科診療データ研究会と兵庫ヘルスケア、神戸ミーティング2019を開催

蓄積した診療データをどのように生かすかが共有される

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 さる11月14日(木)、TKP三宮ビジネスセンター(兵庫県)において、歯科診療データ研究会(藤原夏樹主宰)と兵庫ヘルスケア(丸山和久代表)共同開催による神戸ミーティング2019が「診療データとICT」をテーマに行われた。

 はじめに、藤原夏樹氏(広島県開業)が登壇し、みずから構築したシステムをもとに、歯周病の進行度と喪失歯数の関連性など自院の患者データを分析した結果が示された。さらに、将来の喪失歯数を予測し患者説明に効果的に用いていることから、歯科医療データを分析・解析することで院内システムの問題を浮き彫りにするほか、患者の健康に寄与できる可能性について言及。また、同院では4年前から診療にiPadを導入し、口腔内写真撮影や診療記録、患者指導に活用しており、高本悠歩氏(歯科衛生士・ふじわら歯科医院)からは、院内での使用状況について動画を交えて説明がされた。

 続いて加藤智崇氏(福歯大)が、開業医の臨床データを用いて、年代別の喫煙と歯肉着色の関連性について新しい知見を発信できたことを研究手順とともに紹介。高橋 守氏(日本オラクル株式会社)からは、NDBデータにふれながらシステム基盤について解説され、両者とも臨床データを共有する重要性を主張した。

 開業医からの視点として、中本知之氏(兵庫県開業)は、学校歯科健診の信頼性に着目し、自院データを分析。直近の学校検診で「う蝕なし」と診断された患者のうち77%に問題があり、視診のみでの診断に安心してしまうことがメインテナンス来院の障壁、重症化してからの来院につながっているのではないかと問題を提起した。

 また太田博見氏(鹿児島県開業)は、初診患者がメインテナンスにつながらない現状を分析。モチベーションや説明不足、資料不足など治療内容ではないところに問題があるとし、藤原氏の構築したシステムを活用し、現状説明に力を重視し患者をサポートしている様子が紹介された。

 最後に、藤原氏は「生の診療データを利用することで、現実の問題を理解し、確実に解決に向かうことができる」と今後の展望に期待を寄せ、盛況のうちに終会となった。