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2020年1月19日

株式会社Himmel、セミナーを開催

福井秀和氏が講師として招聘される

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 さる1月19日(日)、新大阪丸ビル別館(大阪府)において、株式会社Himmel(田上めぐみ代表取締役社長)によるセミナー「ペリオ治療の本質を知る」が開催され、歯科医師、歯科衛生士ら約85名が参集した。今回は、イエテボリ大学大学院歯周病専門医課程を卒業後、ヨーロッパ歯周病学会の歯周病専門医を取得した福井秀和氏(長野県勤務)が講師として招聘された。本セミナーは2日コースとなっており、今回がその初日であった。

 福井氏はまず、歯周病の病態として炎症反応や免疫応答について簡単に整理し、歯周組織検査や歯周基本治療の意義についてあらためて整理。そのうえで特に重要となるプラークコントロールにおいては、患者自身による高レベルかつ継続的なホームケアの確立が不可欠であるとし、術者が授ける医療ではなく、患者が主体的に、能動的に考え、行動に移せるよう自立をサポートする医療が重要であると強調した。

 本セミナーでは終始このメッセージが根幹に位置付けられており、その具体的な方法として、口腔衛生指導の際はまず患者自身による自己評価の機会を設けること、歯科医療者側と患者側のイメージの違いを埋めるために気づきを与えること、SOAPIE形式で記録する際、主観的な情報(S)として患者自身の考え方や発言を拾うこと、などが具体的に示された。当初は主訴の治療のみを希望していた患者において、これらの方法によって価値観が変わり、みずから行動に移した症例も提示され、参加者の注目を集めた。

 また、口腔衛生指導でよく実施される染め出しについても、単にPCRの数値を示すのではなく、実際に染め出した状態も患者に見せて共有すること、それに対してどこが問題なのか、どうしたら解決できるかを患者自身に挙げてもらうなど、能動的実感をともなうアプローチについても紹介。「染め出された赤い部分を減らすのではなく、染め出されない白い部分を増やすという見方で考えれば、言葉がけ1つとってもおのずと変わる」という氏の言葉に、多くの共感が集まった。

 このほか、根分岐部病変については水平性だけでなく、垂直性を含めて3次元でとらえて予後を推察すること、急性症状と慢性症状を見極め、前者の場合は安易にSRPを行わずに慢性症状になるのを待ってからあらためて検査し病態を確認するなど、歯周治療にかかわるさまざまなポイントを整理。福井氏の講演は終始一貫して新旧の論文に基づいたうえで、自身の臨床感を交えた構成になっており、日々現場で患者と向き合う参加者にとって腑に落ちる内容であった。

 なお、本セミナーの2日目のプログラムについては2月16日(日)に同会場において開催予定。