Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2020年12月17日

「モリタDHサポートセッション~歯周病治療を考える~」が開催

天野敦雄氏・村上伸也氏・石原美樹氏による対談が実現

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる12月17日(木)から、「モリタDHサポートセッション~歯周病治療を考える~」(株式会社モリタ主催、森田晴夫代表取締役社長)がオンラインで配信されている(事前申込制、配信期間は2020年12月24日(木)17時まで)。今回は、石原美樹氏(株式会社COCO DentMedical代表取締役・歯科衛生士)の進行のもと、天野敦雄氏(阪大大学院歯学研究科予防歯科学教授)、村上伸也氏(阪大大学院歯学研究科歯周病分子病態学教授)による対談形式でセミナーが行われた。

 歯周病治療というテーマをふまえて、3つのセッションで構成された本セミナー。「session 1:知っ得! 口腔ケアからできる感染予防」では、まず新型コロナウイルス感染症に関する情報が整理された。目や鼻の粘膜はもちろん、口から侵入したウイルスが舌や唾液腺のACE2受容体に付着し増殖するということで、唾液が感染源であること、それ故に飛沫感染、接触感染に注意する必要があることがあらためて示された。また、口腔ケアによる予防の効果については今後さらなる情報の蓄積が待たれるものの、各歯科医院において院内感染対策を講じることが感染リスクを下げるうえで重要であると強調された。

 続いて、「session 2:口腔細菌を見極める! 知っておいてほしいポイント」では、歯周病のバイオロジーについて解説された。歯周病の発症には、バイオフィルムの高病原性化(microbial shift)がかかわっており、その大きなきっかけとなるのが歯周ポケット内の潰瘍面における出血である。また、たとえ抗生剤などを用いても、歯周病菌を口腔内から完全に駆逐することはできないということで、バイオフィルムの病原性を絶えず低い状態で維持する歯周治療・メインテナンスの意義について明示された。

 最後に、「session 3:令和の新常識!? ~歯周病治療と根面う蝕~」では、特に高齢者において問題が顕在化している根面う蝕についてバイオロジーが説明された。まず、露出根面はう蝕がなりやすい要因として、加齢によって唾液分泌や咀嚼機能、セルフケアの質が低下することが挙げられた。次に、歯冠う蝕と根面う蝕を比較する形で、臨界pHや原因菌、象牙質とエナメル質の構成成分の違いなどをふまえて、根面う蝕のほうがより進行が速く、プロケアではサホライドを含めた高濃度フッ化物の使用などが求められると提示された。