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2022年3月20日

熊本デンティストミーティング(KDM) 、40周年記念発表会を開催

「超高齢社会とどう向き合うか?」をテーマに、約200名の参加者のもとハイブリッド開催

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 さる3月20日(日)、熊本城ホールシビックホール(熊本県)およびWeb配信のハイブリッド形式にて、「熊本デンティストミーティング(KDM) 40周年記念発表会」(熊本デンティストミーティング主催、小野恒佑会長、松田光正大会長)が開催され、約200名が参加した。1982年に故・添島義和氏によって設立されて以来、月2回の例会や10年ごとの周年行事などを開催してきたKDMであるが、今回は40周年記念発表会ということで全会員による発表がのべ7時間半にわたり、4つのセクションに分けて行われた。以下、各セクションの概要と演題・演者について示す。

セクション1「KDMで取り組んだ臨床統計」座長:林 康博氏(熊本県開業)
 本セクションは、約25年前からKDMが取り組んできた臨床統計について、その歴史と成果について概観。「欠損の始まりと道筋」「初期欠損の順番とパターン」「咬合支持の崩壊」など、KDMならではの多数のサンプル数を擁して得てきた統計について、その臨床への生かしかたも含めて論じられた。演題は以下の2題。
(1)「KDM臨床統計のあゆみ」澤幡佳孝氏(熊本県開業)
(2)「臨床統計による私の臨床スタイルの変遷」林 康博氏(熊本県開業)

セクション2 「将来難症例を作らないための永久歯列完成への取り組み」座長:出口大平氏(熊本県開業)
 本セクションでは、「将来の難症例を作らない」という見地から行う咬合育成・咬合誘導について以下の5演題が行われた。反対咬合や開咬、過蓋咬合やスペースの不足に対し、いずれもできるだけ早期から介入していくことで。生涯にわたり欠損の少ない口腔内を保てる可能性が示された。
(1)「前歯部交換期にMFTとBTアップで介入した反対咬合症例」多々隈貴之氏(福岡県開業)
(2)「口腔習癖の改善に努めた開咬症例」矢部陽典氏(福岡県開業)
(3)「トレーナーシステムを用いた過蓋咬合への取り組み」河端憲彦氏(熊本県開業)
(4)「急速拡大装置を用いた不正咬合への対応」裵 福泰氏(熊本県開業)
(5)「超高齢社会とどう向き合う 難症例になる前に」出口氏

セクション3 「歯周病罹患歯の保存により歯列や咬合の安定を図る」座長:東 克章氏(熊本県開業)
 本セクションでは、標題について特に歯根膜の重要性を根幹に据えつつ、「なぜ歯根膜が重要なのか」「各種歯牙移植の実例」「歯周病の新分類による診断と治療計画」「フラップ手術の創傷治癒」「ステージ3歯周炎における再生療法」「ステージ4歯周炎への対応」が、以下の8演題で示された。
(1)「自家歯牙移植における成功の鍵を考える 〜歯根膜に配慮した移植の取り組み〜」小野恒佑氏(よつば歯科口腔クリニック)
(2)「自家歯牙移植の予知性を探る」高木雅子氏(熊本県開業)
(3)「歯周外科後の創傷治癒をデンタルX線写真にて考察する」坂口 賢氏(熊本県開業)
(4)「GTR法を行った13年経過症例」(冨永祐司氏、熊本県開業)
(5)「根分岐部・複合性骨内欠損に対しFGF-2製剤を用いた1症例」冨永雄介氏(冨永歯科医院)
(6)「重度歯周炎患者に対し一次固定と歯牙移動を行なった症例」栗原健一氏(熊本県開業)
(7)「広汎型慢性歯周炎(ステージⅣ,グレードC)の1例」河野生司氏(熊本県開業)
(8)「ステージⅣ歯周炎患者の歯周補綴による口腔機能回復治療」東氏

セクション4「KDMが考える欠損歯列と欠損補綴への取り組み」座長:永田省藏氏(熊本県開業)
 本セクションでは、標題について「総論」「犬歯欠損への対応」「引く改変と足す改変」「改変しない選択」「上顎前歯を守る」の5つのテーマに分け、さまざまな欠損のパターンや残存歯数、および力と炎症のコントロールや一次固定、二次固定やインプラントの活用などをキーワードにしながら以下の12演題で示された。
(1)「歯列改変への道のりと蹉跌」松田光正氏(熊本県開業)
(2)「歯列の対称性と犬歯部付近のインプラント」山口英司氏(熊本県開業)
(3)「犬歯欠損にインプラントを応用した1症例 ~天然歯とインプラントの二次固定~」渡邉祐康氏(熊本県開業)
(4)「一次固定から二次固定へと移行した左右すれ違い傾向症例」坂口倫章氏(熊本県開業)
(5)「左右の対称性を意識した引く改変」小林裕介氏(熊本県開業)
(6)「歯牙移植と歯列改変~移す改変~」井口佳大氏(熊本県開業)
(7)「テレスコープを用いた3/4犬歯の1症例」南川剛寛氏(熊本県開業)
(8)「顎堤の対向関係の保存に努めた1症例」松原崇士氏(熊本県開業)
(9)「少数歯残存症例におけるオーバーデンチャー」片山建一氏(熊本県開業)
(10)「上顎前歯の保存と歯列の左右対称性」境 大助氏(熊本県開業)
(11)「上顎前歯部顎堤を守る ~無口蓋義歯作製のため歯列の改変を行った1症例~」市川康裕氏(熊本県開業)
(12)「上顎前歯を守る」永田氏

 会場には、KDMと縁の深い全国の各スタディグループからの参加者も多数出席し、各種講演・執筆で著名な歯科医師らがKDM会員の発表に対して的確なコメント・アドバイスに加え、40周年に寄せた祝意を述べていた。また、終了後には感染対策に留意しながら懇親会も開催され、あわせて盛況となっていた。