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2022年7月24日

キシリトールマイスターセミナー2022、Web配信にて開催

マルヤ・リーサ ライタラ氏による日本初の講演が行われる

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 さる7月24日(日)、キシリトールマイスターセミナー2022(日本フィンランドむし歯予防研究会主催)がWeb配信にて開催された。今回は、フィンランドでキシリトールの研究に携わるマルヤ・リーサ ライタラ氏(オウル大う蝕学、歯内療法学、小児歯科教授)を招聘して特別講演が企画された。ライタラ氏が日本で講演するのはこれが初となる。

 はじめに、同会理事長の羽村 章氏(日歯大生命歯学部教授)により、開会の挨拶とライタラ氏の講演の補足が行われた。

 続いて、「キシリトールは歯科保健に対して有益か」の題でライタラ氏が講演を行った。まず、過去に行われた主な研究として、1970年代のトゥルク・シュガースタディや、1980年代のユリビエスカ研究などを挙げ、キシリトールのう蝕抑制効果や母子伝播の予防について示した。そのうえで、かつて行われたこれらの研究は必ずしもエビデンスレベルが高いものではなかったものの、近年ではランダム化比較試験(RCT)などエビデンスレベルが高い形式でもキシリトールの効果が示されているということで、注目すべき報告についていくつか紹介された。また、小児だけでなく、う蝕リスクが高い高齢者におけるRCTなども実施されており、それらの結果、キシリトールの適切な使用によってプラークや歯肉炎、根面う蝕、ミュータンス連鎖球菌、う蝕の減少が報告されていることも述べられた。

 さらに、フィンランドにおける現行臨床ケア・ガイドラインについても紹介された。う蝕については、あらゆる人でのセルフケアとリスクが高い人におけるセルフケアに分けて考えられており、前者ではフッ化物応用や規則正しい食生活に加えて、食後のキシリトール製品摂取、後者ではキシリトールの常用(1日3回以上、5g/日以上)が推奨されているとのこと。

 最後に、ライタラ氏は「キシリトールは歯科保健のために有益であると確信をもって言えると思う」と述べ、講演を締めくくった。

 キシリトールに対する参加者の関心は非常に高く、講演後には時間を超過するほど多数の質問が寄せられた。研究の詳細内容や、キシリトールの実際の使用方法・指導方法などについて羽村氏が1つひとつていねいに回答。終始活況を呈する会となった。