2023年4月2日掲載

4年ぶりの現地開催で、特別講演の収録を実施

第39回公衆歯科衛生研究会(ネコの会)開催

第39回公衆歯科衛生研究会(ネコの会)開催
 さる4月2日(日)、兵庫県中央労働センター(兵庫県)において、第39回公衆歯科衛生研究会(ネコの会)が一部の講演収録も兼ねて開催された。本会は、地域歯科保健活動に従事している歯科医療者をはじめ、医師や看護師、管理栄養士、養護教諭、保育士、教師などの多職種による情報交換の場として活動が続けられている。今回は4年ぶりに約80名の参加者が現地に参集のうえ、特別講演の収録が行われたほか、すでに収録が終わっている演者により、講演内容に関する簡単な紹介がなされた。

 特別講演は、歯科の枠組みにとらわれない以下6題が行われた。

特別講演1「森は海の恋人 自然と人との繋がりについて」畠山 信氏(NPO法人森は海の恋人副理事長)
特別講演2「赤ちゃんの“なめる”を脳から考えてみよう」石黒 光氏(元愛知県心身障害者コロニー中央病院歯科部長)
特別講演3「動物とともに」神田岳委氏(九州自然動物公園アフリカンサファリ園長・獣医師)
特別講演4「歯科医院経営は人創り~今まで語らなかった開業論より~」鶴田博文氏(長崎県開業)        
特別講演5「引揚の記憶と平和の願いを世界へ未来へ」山下美晴氏(舞鶴引揚記念館前館長)     
特別講演6「これまでの歯科・これからの歯科 獅子が行く新しい未来」押村憲昭氏(愛知県開業)

 このうち、石黒氏は舌について「食べ物を感じる」という触覚受容器としての役割に注目。特に乳児においては、脳に伝わる触覚情報の大半が口によるものであること、胎児期の感覚は触覚がもっとも早く発達することなどを解説したうえで、「指しゃぶりはネガティブな印象が強いが、必ずしもそうではなく、感覚発達の出発点として重要である」と述べた。

 鶴田氏は、医院経営の試行錯誤についてありのままに回顧。開業当初は技術の向上ばかり追求してきた結果、スタッフとの関係が悪化してしまったとのこと。その後、異業種によるセミナー参加を機に、スタッフとの面談や、患者へのアンケートなどを実施し始めてからは全員で一丸となって業務に取り組めるようになった変化が語られ、多くの共感をよんだ。

 押村氏はまず、歯科医療の特長として、さまざまな世代の患者と早期から出会えること、未病の段階で介入できることを提示。そのうえで、歯科医療の意義を発信する目的で、自身が院内外で実践しているさまざまな取り組みを披露した。地域全体にアプローチすることによって、自院の患者の健康を守るだけでなく、歯科医療の底上げを図る重要性を強調した。

 なお、全講演のWeb配信は4月29日(土)から5月7日(日)で予定している。

関連する特集