2023年9月16日掲載

4年ぶりの現地開催で盛況となる

日本歯科衛生学会第18回学術大会開催

日本歯科衛生学会第18回学術大会開催
 さる9月16日(土)から18日(月)の3日間、静岡県コンベンションアーツセンター グランシップ(静岡県)において、日本歯科衛生学会第18回学術大会(森野智子大会長、吉田幸恵学会長)が「人生100年時代、求められる地域医療連携とは―歯科衛生士の専門性を探る―」をメインテーマに開催された。

 本学会の学術大会が静岡で開催されるのは今回が初であり、歯科衛生士を中心に約1,500名が参集した。特別講演、招聘講演、教育講演、シンポジウム、口演発表、ポスター発表、ワークショップ、県民フォーラム、研究討論会など多彩なプログラムで進められた。

 2日目の特別講演では、「患者の声から考える医療」と題し、渡邉順子氏(静岡県立大看護学部特任教授・副学長)が登壇。看護師として、医療者と患者のコミュニケーションギャップに着目し、多数の著書を執筆している渡邉氏。講演ではまず、医療現場や看護教育において、インフォームドコンセントや医療面接が重要視されるようになった経緯を説明した。次に、演題と同じタイトルの著書からいくつかのケースを抜粋し、医療者の考え方や見方を示した。歯科衛生士の医療面接にも通じるところがあることから、多くの共感をよんだ。

 招聘講演では、ファン・ユンスク氏(大韓歯科衛生士協会会長)が「韓国歯科衛生士の過去と現在、そして未来」と題して講演を行った。日本と同様に、歯科衛生士養成機関の教育年数が段階を踏んで延長され、協会を設立して国際歯科衛生士連盟(IFDH)に加盟するまでの経緯などが紹介された。また、現在では3年ごとに免許更新があり、たとえ休職中であっても年間8時間以上の講義を受ける必要があることにも言及し、注目を集めた。最後に、来年7月にISDH(歯科衛生国際シンポジウム)が韓国で開催されることから、その宣伝とともに講演を締めくくった。

 最終日には、シンポジウム「がん患者を支える地域連携の重要性 静岡がんセンターの取り組み」が行われた。まず、百合草健圭志氏(静岡県立静岡がんセンター歯科口腔外科部長)が基調講演を行い、がん治療における口腔支持療法が国内で行われるようになった背景や、静岡がんセンターと静岡県歯科医師会の連携のあゆみを振り返ったうえで、口腔支持療法による効果や意義などを解説した。その後、安藤千賀子氏(静岡県立静岡がんセンター、歯科衛生士)が院内での取り組みや静岡県歯科衛生士会と共同で開催している講習会について、大川晃子氏(静岡県歯科衛生士会副会長)が地域の歯科医院でがん患者を支える歯科衛生士の役割について、久山幸恵氏(静岡県立静岡がんセンター、看護師)が患者家族支援センターに勤務する立場からがん患者の悩みや負担・苦痛についてそれぞれ紹介した。

 コロナ禍を経て4年ぶりに学術大会が現地開催されたということで、久々の再会に喜ぶ参加者の姿も数多く見られた。なお、次回の第19回学術大会は、きたる2024年9月21日(土)から23日(月)の3日間、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟県)において開催予定。

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