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2008年7月6日

QDT購読キャンペーン講演会 「いまさら聞けない補綴治療」(第2回・大阪会場) 

東京会場にひきつづき盛況に

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 さる7月6日(日)、グランキューブ大阪(大阪国際会議場)において「QDT購読キャンペーン講演会『いまさら聞けない補綴治療』―日常臨床に役立つ補綴治療のキー―」(第2回・大阪会場)が開催された(クインテッセンス出版主催)。本講演会は、2006年に「チェアサイドとラボサイドのコミュニケーション」「補綴治療の基礎を見直す」をコンセプトに大幅なリニューアルを果たした雑誌「QDT」をより多くの歯科医師、なかでも今後の歯科界を担う若手歯科医師に周知する目的で開催されたもの。会場には5月の東京会場と同様に若手歯科医師が多数つめかけ、盛況となっていた。
 会場ではまず、同誌編集部からの挨拶にひきつづき本多正明氏(大阪府開業)が「若い歯科医師に伝えたい補綴治療の意義」と題して基調講演を行った。この中で氏はまず、自らが副会長を務めるSJCDインターナショナルの名誉顧問・Dr. Raymond Kim(故人)との出会いについて述懐。現在、補綴治療においては歯周組織との調和が非常に重視されているが、本多氏は1974年にDr.Kimおよび氏が実践するプロビジョナルレストレーションの細やかな調整に出会ったことでこの概念を実感したと述べた。
 その後、みずからがコンポジットレジン修復を行って20年が経過した症例などを多数供覧したうえで、「歯科医療には知識、判断力、臨床経験が必要だが、それにも増してD.D.S.(Doctor of Dental Surgery)という呼称がある以上、手技の修練が重要」と述べ、若手歯科医師へのエールとした。
 その後、同誌に執筆経験のある3演者らによる講演が順次行われた。以下に、その概略を示す。

(1)「日常臨床に生かす! 再治療歯の支台歯形成」(児玉敏郎氏、宮崎県開業)
 本講演で児玉氏はまず、補綴治療のステップについて詳述。データの収集、診断、治療計画の立案、そして実際の治療に至るまでに必要な情報や考慮事項についてそれぞれ解説した。そのうえで下顎左側第一小臼歯の再治療症例を供覧しつつ、たとえ1歯の治療であっても総合的な診査・診断、とくに顎運動への配慮が欠かせないことを力説した。
 さらに、前歯・臼歯それぞれに求められる削除量や軸面形態、咬合面形態についても図を示しながら述べ、「支台歯は単に修復物が入るルームであればよいというものではなく、最終的な歯冠形態と調和した生理的形態をもたなければならない」とした。

(2)「失敗しないコンポジットレジン直接修復 ―審美的・機能的予後を確実にするために―」(高橋 登氏、東京都開業)
 東京会場にひきつづき登壇した高橋氏は、標題に掲げた内容を実現するための材料選択や窩洞形成につき、きわめて基礎的な内容から解説した。窩洞形成においては直接修復ならではの形態について多数のスライドをもとに逐次解説しながら聴講者の理解を助け、さらに臨床家にとって悩みの多い材料選択についても多くのデータにもとづいた基準を示した。また、氏が提唱する3Dレイヤリングテクニックについても手順を追って紹介され、聴講者がすぐに応用できるよう配慮されていた。

(3)「長期的維持を考慮したクラウンの製作」(佐々木猛氏、貴和会新大阪歯科診療所)
 本講演で佐々木氏はまず、補綴治療の要諦について「狙ったところを確実にカバーすること」と述べたうえで、それを実現するための要素について順次解説。補綴物のマージン設定位置や清掃性を重視した下部鼓形空隙付近の形態設定、そして口腔内での歯冠形態に惑わされず、本来の歯軸に沿った支台歯形成を行うことなどについて実例とともに述べた。さらに、補綴物の精度を向上させるためには模型の精度が必要としたうえで、可撤式模型におけるツインダウエルピンの応用などといったヒントなどにも触れた。

 なお、本講演会は今後、今週末に福岡県、8月に愛媛県、10月に北海道、11月に新潟県での開催が決定されており、さらに来春以降仙台、金沢、名古屋(順不同)での開催が予定されている。
 詳細はhttp://www.quint-j.co.jp/lecture/index.htmlにて。