2024年7月号掲載
特別寄稿 顎関節症の研究から 口腔機能管理の意義を再考する (前編)
※本記事は、「新聞クイント 2024年7月号」より抜粋して掲載。
健康寿命の延伸に寄与する顎の機能障害の改善
近年、人生100年時代といわれるなかで、いかに平均寿命と健康寿命の差を縮めるかが喫緊の課題となっている。平均寿命には内臓器が、健康寿命では運動器が医学的に重要な役割を担う。すなわち内臓器は人の生命をつくり、運動器は人の生活をつくっていることから、いかに運動器の機能を管理するかが健康寿命延伸のための鍵となっている1。そのような背景もあり、歯科から健康寿命の推進に貢献するためには、運動器の「機能」への対処が求められるようになってきた。
歯科における運動器の代表は、顎(顎関節+咀嚼筋)である。咀嚼や嚥下、発音に関係する舌をはじめ、表情に関する口腔周囲筋も運動器として口腔機能に関与しており1、なかでも顎の代表的な運動器の機能障害には、顎関節症が挙げられる。
顎関節症は、基本的に顎関節や咀嚼筋などの運動器の機能障害であり、主な症状として咀嚼筋や顎関節の痛み、顎関節雑音、開口障害がある。傾向として、20代から50代の女性に多く発症し、その後は年齢とともに減少することがわかっている。顎関節症の検査には、下顎運動検査や顎関節雑音検査、咀嚼筋・顎関節の圧痛検査が行われ、その病態により、咀嚼筋痛障害、顎関節痛障害、顎関節円板障害(復位性、非復位性)、変形性顎関節症に分類される。
そこで本稿では、筆者の顎関節症研究に基づくエビデンスとともに、歯科で顎の機能を診る意義や口腔機能管理について紹介したい。