2021年6月2日掲載
講師に国立がん研究センターの上野尚雄氏を招聘
国民皆歯科健診を実現する会、第4回勉強会を開催

会場では、講師を務めた上野尚雄氏(国立がん研究センター中央病院歯科医長)による「がん患者の治療と生活を口腔から支える~がん専門病院の歯科の役割」と題する講演が行われた。上野氏は、国立がん研究センターの歯科における取り組みを紹介しながら、がん薬物療法中の口腔合併症や口腔トラブルの頻度の高さを強調。また口腔内の感染症の対応には、抗生物質薬の投与だけでなく歯科の介入によって疼痛緩和や感染リスク管理が可能であることを多数の症例とともに解説し、がん治療開始前からの口腔管理の大切さを訴えた。
講演後は、参加した国会議員との意見交換が行われた。上野氏は、地域社会の中で必要な歯科支援を受けるためのがん拠点病院における常勤歯科医師の配置や、がん患者の口腔管理に対応できるがん連携歯科医院の拡充について言及。がん医療における歯科の役割として、歯科本来の役割を果たすための政策や法整備の必要性なども出された。
なお、古屋会長よりこれまでの勉強会の内容や議論をふまえ、2019年から毎年記載されている「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の中に、「生涯を通じた歯科健診の充実」を実現するため、そして法制化に向けて今国会会期中に議員連盟を発足させる予定であることが発表された。今後の取り組みに注目したい。