2021年8月23日掲載
側貌まで考慮した上下顎前突への臨床対応について、高橋滋樹氏が講演
ワンディー株式会社、オンラインセミナーを開催

氏は、上下顎前突を改善するうえで、下顎前歯より上顎前歯を後退させることはできないため、まずは“下顎前歯をどこまで下げるか”を決定することがポイントとなることを強調した。下顎前歯の歯槽骨は頬舌的に狭く、矯正治療を行うことで下顎前歯の歯根が歯槽骨から露出してしまうリスクがあるため、下顎前歯を安全に後退させるためには、歯根尖が動かないようにしたまま傾斜移動を行う“コントロールドティッピング”を応用することが、もっとも安全かつ効果的であると解説した。
また、上下顎前突症例には、ハイアングルケースが多いとされているが、その側貌の改善は下顎前歯の歯軸をアップライトしなければならないため難しい治療であることを述べた。そこでポイントとなるのが“バーティカルコントロール”であり、その目的は、下顎のクロックワイズローテーション(下顎の後下方への回転)をいかに防ぐかであると解説した。上下顎前突を矯正により治療する場合、下顎の後下方への回転が誘発されるため、バーティカルコントロールを行い、オトガイの位置を改善することが重要であると話した。さらに、バーティカルコントロールは、側貌の改善だけではなく、気道の維持の観点からも有効であると述べた。
エビデンスだけでなく、解説にあわせて症例を提示し、多くの学びが得られる機会となった。質疑応答では視聴者からも多くの質問が寄せられ、氏はすべての質問にていねいに答えていき、セミナーは終始盛況を呈した。