2023年3月26日掲載
タレントのデヴィ・スカルノさんと執行部により「歯科界の未来への展望」が語られる
2022年度MID-G総会、Web配信にて開催

まず、田口氏の講演では、厚生労働省での歯科保健医療政策策定などの長年にわたる経験から、歯科に関するさまざまな国の施策について解説がなされ、これからの歯科保健医療はどうあるべきかが述べられた。すなわち、従来の疾患対応型から口腔機能の維持向上を目標とした医療、診療所単位ではなく歯科訪問診療も含む地域単位での医療が大事になってくるとした。講演後の質疑応答では、急速に進んでいるデジタルデンティストリーや、歯科医院における乳幼児・高齢者に対する食育で活躍が見込まれる管理栄養士について診療報酬の評価の可能性はあるのか、国に求められている地域完結型の歯科保健医療を推進するには大学などでの教育体制の整備も重要ではないか、などについて活発な議論がなされた。
次に、スカルノさんとMID-G執行部である栗林氏(東京都開業)、呉本勝隆氏(大阪府開業)、白崎 俊氏(香川県開業)、山井裕生氏(神奈川県開業)、鬼頭氏との対談では、スカルノさんの歯に対する考えや日本の未来の展望、働き方などのさまざまなテーマについて意見交換がなされた。スカルノさんは日本人の歯に対する意識の低さや利己主義的な働き方に警鐘を鳴らす一方、MID-Gの医院づくりや道徳心を大事にする姿勢に共感を示した。最後に視聴者に対して、「自信と誇りをもって自分の仕事を愛してほしい」とメッセージを贈った。
さる3月14日から18日にドイツのケルンで4年ぶりに開催されたIDS2023の報告では、荒井氏は大きなアップデートはないとしながらも、展示に占める割合の多かったAIとクラウドを中心に、デジタルスマイルデザイン、矯正治療、口腔内スキャナー、デジタル咬合器、3Dプリンター、デジタル教育ツールなどについて報告した。なかでも、AI・クラウドに関しては、口腔内写真やX線写真などの資料からAIが各部位をセグメンテーションし病巣などを診断すること、それをブラウザベースで行うことが今後あたりまえになるだろうと予測した。
全員がIDSに参加したMID-G執行部を交えてのディスカッションでは、IDSで展示されていたような製品が実際に日本の歯科医療に導入されるのはいつになるのか、IDSへ継続して参加する意義などについて話し合われた。また、AI技術の躍進は目覚ましいものがあるが、日本の歯科臨床に応用するには日本人の生体のビッグデータが不可欠であり、積極的にデジタルデバイスを使用してそのデータをクラウドに上げていく必要性が確認された。