学会|2024年10月28日掲載
歴史ある劇場を舞台に約700名が参集する盛会に
第9回日本臨床歯科学会合同例会 in 名古屋が開催
さる10月26日(土)、27日(日)の両日、御園座(愛知県)において、第9回日本臨床歯科学会合同例会 in 名古屋(吉木雄一朗大会長、山﨑長郎理事長)が開催され、約700名の参加者を集めて盛会となった。
2006年の第1回以来、隔年で開催されてきた本合同例会は、2020年に予定されていた第8回の広島県開催がコロナ禍によって2022年に延期開催されたのに引き続き、このたび第9回の開催を迎えたもの。会場では2日間にわたり、全国12支部から選出された演者による会員発表15題ならびに特別講演が行われた。会員発表の演題および演者を以下に示す(登壇順)。
(1)「下顎位が不安定な患者に対しMIコンセプトで治療咬合を付与した一症例」(安田 裕氏、名古屋支部)
(2)「Strategic Treatment Sequencing in Comprehensive Reconstruction」(奥田浩規氏、大阪支部)
(3)「前歯部に結合組織移植術と矯正治療を併用して審美障害を改善した症例」(金子一平氏、四国支部)
(4)「上下顎骨の水平的不調和に対し3Kコンセプトによる補綴治療を行った一症例」(奥村昌泰氏、広島支部)
(5)「先天性部分性無歯症患者に対して咬合再構成を行った症例」(秋元喜文氏、福岡支部)
(6)「上顎切歯先天欠如に対する治療戦略」(安永賢史氏、北海道支部)
(7)「咬合崩壊した患者に対してインプラントを用いて咬合再構成を行った一症例」(齋藤慶介氏、東北支部)
(8)「複雑な条件を抱えた下顎側方偏位を伴う難症例に対するインターディシプリナリーマネージメント」(林 丈裕氏、東京支部)
(9)「前歯部領域に対し骨造成を行いインプラント治療を行った一症例」(八田知之氏、熊本支部)
(10)「Optimal treatment plan considering patient’s preferences」(北逵圭佑氏、大阪支部)
(11)「包括的歯科治療により審美・機能的改善が認められた症例」(中野忠彦氏、東京支部)
(12)「咬合再構成により顎関節症を改善した症例」(加藤健介氏、新潟支部)
(13)「前歯部審美障害を伴う過蓋咬合を呈する患者に対し包括的治療を行った一症例」(野村勇太氏、福岡支部)
(14)「歯の病的移動を伴う咬合崩壊を呈する患者に対して補綴スペースを考慮して咬合再構成を行った1症例」(角田真太郎氏、北陸支部)
(15)「オープンバイト症例におけるエビデンスに基づいた矯正的アプローチ」(河底晴紀氏、京都支部)
各演題では、日本臨床歯科学会がこれまでに旨としてきた綿密な資料収集のもと、検査・診断、治療計画に基づき、矯正治療やインプラント治療、補綴治療などを組み合わせた包括的なアプローチにより咬合再構成を行った症例などが多数報告された。また、各発表後の質疑応答では、本学会の特徴の1つともいえる熱いディスカッションが展開された。
また、会員発表に続いて、特別講演として「Improving Mandibular Position with Dental Implants in Cases of Posterior Bite Collapses」(Jongwon Yoon氏、韓国開業)が行われた。Yoon氏は、2003年に本多正明氏(大阪府開業、日本臨床歯科学会副理事長)と伊藤雄策氏(大阪府開業、同学会常任理事)によって韓国の臨床家のために設立されたスタディグループ「SKCD」(Society of Korean Clinical Dentistry)の代表として来日し登壇。演題のとおり、多くの文献と綿密な資料採得に基づくインプラントを用いた咬合再構築症例が提示された。
なお、本合同例会では毎回、特に優秀な発表に対してアワードが贈られているが、今回は特別協賛のクラレノリタケデンタル社から「クラレノリタケデンタル賞」が中野氏に、そして今回創設された日本補綴歯科学会による「日本補綴歯科学会賞」が安田氏に贈られた。また恒例の日本臨床歯科学会アワードには、1位に中野氏、2位に林氏、3位に奥田氏が選ばれた。
1896年に設立された、名古屋を代表する歴史ある劇場を舞台に行われた今回の合同例会。会場としても学術大会が目的での貸し出しは初とのことであったが、大会長以下、名古屋支部メンバーの努力により大団円を迎えた。なお、次回の第10回合同例会は京都支部主管のもと、きたる2026年9月5日(土)、6日(日)の両日に国立京都国際会館(京都府)において開催予定とのこと。