社会|2024年10月29日掲載
佐藤洋平氏、伊原啓祐氏が症例から学ぶ補綴医と歯科技工士の視点をテーマに講演
PROS Dental Academy、オンラインセミナーを開催
さる10月26日(土)、PROS Dental Academy(田中亮次代表)によるオンラインセミナーが開催された。
PROS Dental Academyとは、田中氏(静岡県勤務)が代表を務める、歯科臨床の実際をアカデミックかつ教育的な視点で情報提供するセミナー。今回は、佐藤洋平氏(神奈川県開業)とその技工パートナーである伊原啓祐氏(歯科技工士、i-Dental Lab)を演者に迎え、「症例から学ぶ補綴医と歯科技工士の視点―非外科的に歯頚線を整えた審美補綴症例」の演題でオンライン開催された。本セミナーは「若手向け」をうたっており、今回と次回(後述)を合わせて参加費が4,400円と廉価で、かつ振り返り視聴(1か月)が設けられている点が特筆される。
講演はまず、患者の審美的な要求度が高い前歯部クラウン・ブリッジ修復において、調整が重ねられた後のプロビジョナルレストレーションのエマージェンスプロファイルを歯科技工士に伝達することの難しさを提起。その一解決法として、木林博之氏(京都府開業)らが考案し、2022年にJPD誌に発表された手法を紹介した。そのうえで、両側中切歯を外傷で完全脱臼し再植・整復された後の歯冠修復に対して同手法を用いた症例の治療工程を、伊原氏とともに解説した。
そのなかで佐藤氏は、歯頚線を整えるうえでとくにこれを根尖側方向へ移動したい場合、歯冠長延長術などでの外科的な対応もあるが、1.5mm程度までの移動であればエマージェンスプロファイル部のクラウンカントゥアによって対応可能なことが多いとした。しかし、「そのクラウンカントゥアは患者ごとに異なり、チェアサイドでの軟組織の観察や調整を十分に行う必要がある」とも述べた。
本セミナーの次回は、補綴歯科を専門とする高岡亮太氏(阪大)とその矯正歯科のパートナーである吉川浩史氏(大阪府開業)を演者に迎え「拡大矯正後に改善できなかった不正咬合を矯正・補綴歯科治療でリカバリーした症例~拡大矯正の適応および禁忌症について~」の演題により、11月30日(土)19:30~21:00にWeb開催される予定。