社会|2025年3月7日掲載

Todd Scheyer氏を招聘しペリオ・インプラント分野を学ぶ

PHIJ×THREEE. collaboration open seminarが開催

PHIJ×THREEE. collaboration open seminarが開催

 さる3月6日(木)、富士ソフト秋葉原ビル(東京都)においてPHIJ×THREEE. collaboration open seminarが“ペリオ・インプラント領域におけるデジタルデンティストリーの真髄を学ぶ”をテーマに、開催された。本オープンセミナーは、築山鉄平氏(福岡県開業)主宰のPHIJと、小川雄大氏(東京都開業)が代表を務めるTHREEE.の共催によるもので、Todd Scheyer氏(米国開業)を招聘し、ペリオ・インプラント分野についての講演が行われた。

 当日は、まずTHREEE.幹部の渡邉泰斗氏(日本大学)が、「START WITH WHY ENVISION THE GOAL」と題して講演した。本タイトルは「“なぜ”を追求し目標を明確にすることが新たな道を切り開く鍵」との意で、それは歯科医療においても同様と指摘。患者を理解して接することで、患者の治療へのモチベーションを高め、行動変容へとつなげることの重要性を指摘した。その後、歯周組織再生療法と歯周形成外科治療を併用した症例を供覧。また、完全な根面被覆が困難といわれる、歯周病を併発したCairoの分類のRecession Type 3への対応方法として昨年、氏が「International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry(IJPRD)」に新術式として報告した“m-CTG wall technique”の解説も行われた。結合組織移植術と歯肉弁歯冠側移動術を併用し硬・軟組織の改善を行うことで、術後の口腔内環境およびさらなる疾患の改善ができる可能性を報告した。

 続いて築山氏が、「Maximizing the Tissue Preservation for Periodontally Compromised Teeth in the Esthetic Zone」と題して、審美領域の歯周組織保存を行うための手法としてルートサブマージェンステクニックおよびアンキローシスへの対応方法を解説した。まず、審美領域での抜歯、特に2歯連続の場合では歯槽堤の吸収が垂直的にも水平的にも起こることに対し、ルートサブマージェンステクニックの有効性やその臨床フローを多数の症例を基に解説。さらに、審美領域のアンキローシスに対しては、患歯以外も含めて前歯部一体の審美性を評価し、治療計画を立案する重要性を指摘した。

 最後に、Scheyer氏が「Guided versus Unguided in the Digital Work Flow, featuring Prime Taper」と題して講演し、築山氏が逐次通訳した。Scheyer氏は自身が参画する、24名の口腔外科医およびインプラント専門医と、12名の一般開業医が準構成員で組織される歯周病分野の研究ネットワークであるMcGuire Instituteを紹介。より民間レベルの臨床結果を集約できることが特徴の組織であり、それらのデータを用いながら、インプラント表面性状やコネクション形態、カスタムアバットメントの製作などについて解説した。またその臨床においては、治療後の結果を術前にシミュレーションする、デジタル分析システムの有効性を指摘した。

 いずれの講演においても、ペリオ・インプラント分野の国際的な最新情報が盛り込まれており、明日の臨床につながる貴重な機会となったものと考えられる。講演後には、演者に対する質問や、講演の内容をたたえる光景がみられた。

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