社会|2025年9月8日掲載

歯周病やインプラント分野で著名な海外演者を多数招聘し盛会となる

オステオロジー財団、National Osteology Symposium 2025を開催

オステオロジー財団、National Osteology Symposium 2025を開催

 さる9月6日(土)、7日(日)の両日、ベルサール汐留(東京都)において、National Osteology Symposium 2025(オステオロジー財団主催)が開催され、約270名の参加者が参集した。

 1日目のセッション1「Esthetic and implant dentistry」では、Ronald E. Jung氏(チューリッヒ大学、スイス)がモデレータとして登壇し、移植材をL字型に成形して配置する「L字型テクニック」を用いた審美領域の治療法について語った。

 続いて中田光太郎氏(京都府開業)が「審美領域におけるインプラント治療の方法と戦略」、石川知弘氏(静岡県開業)が「前歯部審美インプラント治療における再建的な硬軟組織マネジメント」、横山紗和子氏(東京都開業)が「インプラント治療におけるデジタル診断の現在」の演題でそれぞれ講演した。なかでも 石川氏は、歯間乳頭再建の手段として強制的挺出とPET(Partial Extraction Therapy)を、利用できる組織がない場合は骨造成する方法を挙げ、水平・垂直性骨欠損の症例を供覧しながら解説した。

 午後のセッション2「Periodontal regeneration」では、齋藤 淳氏(東京歯科大学教授)がモデレーターとして登壇し、歯周組織再生療法で用いられるマテリアルについて解説。そして、二階堂雅彦氏(東京都開業)が「歯周組織再生療法―Monotherapy―再考」、奈良嘉峰氏(神奈川県開業)が「メンブレンを用いた歯周組織再生療法を再考する」、今村健太郎氏(東京都開業)が「生物学的製剤と骨補填材を併用した歯周再生療法の最前線」の演題でそれぞれ登壇し、FGF-2の単独使用の手法や各骨補填材の特性、FGF-2とDBBMのコンビネーション治療について説いた。

 2日目のセッション3「Major bone augmentation」では、Isabella Rocchietta氏(イギリス開業)がモデレーターとして登壇し、GBR(骨再生誘導法)に焦点を当て、前歯部および臼歯部に硬・軟組織造成を行った症例を供覧した。そして、丸川恵理子氏(東京科学大学)が「三次元的GBRに有効なマテリアルと長期安定性」、木津康博氏(神奈川県開業)が「脂肪由来幹細胞を用いた3次元的骨造成」、根本康子氏(東京都、茨城県開業)が「顎堤増大の予知性を高めるためのVital point」の演題でそれぞれ登壇した。なかでも丸川氏は、骨造成において自家骨を混合するようにしており、また骨吸収をなるべく防ぐためBio-Ossのような吸収の遅い骨補填材を使用し、コラーゲンメンブレンを最外層に設置していると説明した。

 セッション4「Peri-implantitis treatment」では、Mariano Sanz氏(マドリード・コンプルテンセ大学、スペイン)がモデレーターとして登壇し、インプラント周囲炎の概要を解説。その後、宗像源博氏(昭和医科大学)が「インプラント周囲骨吸収の要因と非外科的および外科的アプローチ」、岩野義弘氏(東京都開業)が「インプラント周囲炎に対する外科治療の要件と治療の実際」、石川氏が「インプラント周囲炎における再建治療の効果」の演題でそれぞれ登壇した。特に岩野氏は、汚染したインプラント体表面に対する確立した除染方法は存在しないが、Er:YAGレーザーやエアアブレージョン、チタンブラシの使用によって良好な結果を導き出せる可能性があるとした。

 これらのセッションのほか、ポスター発表やRocchietta氏、Jung氏、Sanz氏による3つのハンズオンワークショップも行われ、充実した内容となった。

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