学会|2025年12月9日掲載
「すべてのがん患者に口腔管理を」をテーマに
日本がん口腔支持療法学会、第11回学術大会を開催
さる12月6日(土)、7日(日)の両日、国立がん研究センター研究所(東京都)において、日本がん口腔支持療法学会第11回学術大会(八岡和歌子準備委員長、山﨑知子大会長・理事長)が「すべてのがん患者に口腔管理を」をテーマに開催され、多数の医療関係者が参集した。
会場では2日間をとおして、共催ランチョンセミナー2題、特別講演1題、シンポジウム3題、共催イブニングセミナー1題、日本がんサポーティブケア学会-日本がん口腔支持療法学会ジョイントシンポジウム1題、口腔ケア講習会、一般演題口演発表14題、ポスター発表6題など、多数のプログラムが開催された。
1日目の特別講演では、関谷秀樹氏(東邦大学医学部口腔外科教室)が「口腔内と全身疾患との関係」と題するテーマで登壇。氏は口腔疾病と全身疾患との関係性が注目されるなか、自院で実践している口腔管理介入システムについてデータとともに紹介し、周術期における口腔管理のシステム化の必要性をアピールした。
2日目のシンポジウム2「薬剤性顎骨壊死について」では、竹内照美氏(国立がん研究センター東病院歯科)、新垣理宣氏(東北大学病院周術期口腔健康管理部)、松田悠平氏(歯科衛生士、島根大学歯科口腔外科)、古川康平氏(国立病院機構四国がんセンター歯科・口腔外科)、妻木浩美氏(看護師、静岡県立静岡がんセンター看護部)による講演が行われた。歯科医師、歯科衛生士、看護師それぞれの立場から薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の早期発見・予防、治療における最新知見や現場での取り組みなどが披露された。講演後のディスカッションでは多職種による示唆に富んだ意見が出され、会場の注目を集めた。
また、シンポジウム3「がん治療における支持療法について」(日本がんサポーティブケア学会ジョイントシンポジウム)では、全田貞幹氏(国立がん研究センター東病院放射線治療科)と曽我賢彦氏(岡山大学病院医療支援歯科治療部)が登壇。全田氏は、講演のなかでがん支持療法かかわるすべての医療従事者がシステムとして機能するチーム医療の大切さを強調した。曽我氏は、本学会の設立から現在までの軌跡を振り返るとともに、大学人として医療現場で活躍できる人材育成に尽力していく姿勢と、会のさらなる発展に期待を寄せた。なお、本シンポジウムでは参加者が自身のスマートフォンで質問や意見を投稿でき、アンケートや投票などが表示される全員参加型のWebシステムが採用され、終始盛り上がりを見せていた。
次回の第12回大会は、きたる2026年11月下旬、都内において、阿部雅修大会長(がん研究会有明病院歯科口腔外科)のもと、「利他と創造の礎を築く」をテーマに開催される予定。