学会|2026年8月4日掲載

若手歯科医師によるインプラント治療に関する講演が多数行われる

日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第16回学術シンポジウム開催

日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第16回学術シンポジウム開催

 さる8月2日(日)、日本歯科大学生命歯学部富士見ホール(東京都)において、日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部第16回学術シンポジウム(廣安一彦大会長、萩原芳幸支部長、馬場俊輔理事長)が「若手歯科医師による! インプラント治療の包括的マネジメント」をテーマとして300名を超える参加者を集め盛大に開催された。

 本シンポジウムは、関東・甲信越支部各研修会施設の若手臨床医および研究者により、年次学術大会や支部学術大会で取り上げられないテーマや旬な学術情報を提供し、なおかつ関東・甲信越支部の融和と活性化を図ることを目的として2010年から開催されている。近年は全国的にも認知度が高まり、他支部からの発表も増加している。

 午前のセッション1では、熱田 亙氏(東京都開業)、伊藤太一氏(東京歯科大学千葉歯科医療センター)を座長として、春日太一氏(千葉県・長野県勤務、島根大学大学院医学系研究科医科学専攻)が「Extended Reality 技術を用いたラテラルウィンドウテクニックの術前マネジメント」、和久田 澪氏(東京科学大学病院口腔インプラント科)が「FP3補綴装置を用いた即時修復による全顎的アプローチ」、松田雅嗣氏(日本歯科大学新潟病院口腔インプラント科)が「当科における専門医取得について」の演題で講演を行った。なかでも春日氏はラテラルウィンドウテクニックの術前マネジメントとして、現実世界と仮想世界を融合したExtended Reality技術(XR技術)を用いる方法を紹介し、手術の疑似体験が行えることでより安心・安全な歯科医療につながるとした。

 続いてセッション2では、関根大介氏(埼玉県開業)、関 啓介氏(日本大学歯学部付属歯科病院歯科インプラント科)を座長として、新保秀仁氏(鶴見大学歯学部口腔リハビリテーション補綴学講座)が「インプラントを守るIRPD―デンチャースペースを考慮する―」、大塚正喜氏(埼玉県開業)が「インプラントと義歯を用いた全顎補綴治療」、小島亮人氏(千葉県開業)が「インプラント治療における機械的合併症について」を演題として登壇。新保氏は、IRPD(インプラント支持可撤性部分床義歯)においてインプラントの効果を最大限発揮し、さらにインプラントを守るためには、残存諸組織によって義歯の安定化を図り、可撤性補綴装置の形態からインプラントの埋入位置を検討することが重要とした。大塚氏は、全顎欠損患者に対して全部床義歯とインプラント治療を行った症例を供覧。上顎は義歯、下顎はボーンアンカードブリッジで義歯の摩耗が懸念されるので、定期的に咬合の状態を確認しながら必要に応じて義歯の新製を検討する必要があると考察した。小島氏は、上部構造の破損を防ぐにはモノリシックジルコニアを第一選択にすべきであると話し、ブラキシズムと不適切な咬合付与は機械的合併症のリスクを高めるため、適切な検査・診断、治療計画、メインテナンスフォローが必要だとした。

 午後のセッション3では、鈴木恭典氏(鶴見大学歯学部附属病院インプラント科)、小林英三郎氏(日本歯科大学新潟病院口腔外科)を座長に、宮下達郎氏(東京都開業)が「My Essentials―Regeneration and Minimally Invasive―」、平野友基氏(東京歯科大学口腔インプラント学講座)が「6mmショートインプラントの治療戦略~ 適応症と長期予後を考える~」、小山 亮氏(日本大学歯学部付属歯科病院歯科インプラント科)が「上顎洞底挙上術で留意するべきポイントとトラブル時のリカバリー」、福留彩音氏(東京大学医学部附属病院口腔顎顔面外科・矯正歯科)が「唇顎口蓋裂患者に対するインプラント治療の展望」の演題で講演した。特に福留氏は、口唇口蓋裂治療の流れや顎裂部インプラントの課題などを解説した後、口唇裂に対する再生医療の基盤構築を目的として確立したマウス口唇裂器官培養モデルにおいて、脂肪由来幹細胞シートによる組織修復効果の検証を説明。再生医療により顎裂部そのものの修復ができれば患者負担、治療難度の軽減に貢献しうると展望を述べた。

 なお、次回の第17回学術シンポジウムは、きたる2027年8月1日(日)、東京大学吉田講堂において行われる予定である。

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