社会|2026年8月4日掲載
アライナー矯正の未来を多角的に議論、全国のトップランナーが北九州に集結
北九州アライナー咬合学研究会、第2回総会を開催
さる8月2日(日)、九州歯科大学(福岡県)において、北九州アライナー咬合学研究会(藤岡直也会長)による第2回総会が「ALIGNER SUCCESS」をテーマに開催された。
本研究会は、アライナーを用いた咬合治療の普及と次世代の歯科医療従事者の育成を目的として設立された。若手歯科医師が最新の知識と技術を学び、成長できる場を提供するとともに、志を同じくする仲間たちとつながるコミュニティの形成を目指している。将来的には、北九州から日本全国に、さらには世界に向けて情報発信していきたいとしている。
まず、越智信行氏(東京都開業)が「3Dアライナー・シン咬合学」と題して講演。CBCTや口腔内スキャナーによって可視化された三次元データを活用し、アライナー矯正前後の顎位や顎顔面の変化を解析。「なぜその変化が起こるのか」を補綴と矯正双方の視点から考察し、新たな咬合理論を提示した。
加藤雄大氏(福岡県開業)が「アライナー治療、咬合治療を成功に導く歯周治療」と題して講演。歯周治療を単なる前処置ではなく、治療計画全体の起点として位置づけ、歯の移動の予測性や長期安定性を高めるための最新エビデンスと臨床戦略を紹介した。
赤間廣輔氏(福岡県開業)は、「なぜ今、気道なのか―成長と機能から考える歯科の未来―」と題し、呼吸や舌機能、姿勢などの機能的要素が顎顔面の成長や歯列形成に及ぼす影響を解説。気道という新たな視点から、予防・長期安定を重視した歯科医療の可能性を提案した。
小川雄右氏(愛知県開業)は、「小児矯正は矯正治療の最適解!? 成長・機能・咬合誘導から考えるアライナー治療戦略」と題して講演。混合歯列期における成長誘導や口腔機能改善、アライナーを活用した骨格設計、二期治療への移行判断などを整理し、小児期から始める矯正治療の臨床的意義を解説した。
力丸哲哉氏(福岡県開業)は、「ライフステージに応じた包括的歯科診療~患者のQOLを高める治療戦略~」と題し、患者の生涯を見据えた診断と治療戦略について講演。「点」ではなく「線」で患者を捉える視点から、加齢変化を考慮した包括治療とQOL向上へのアプローチを紹介した。
長尾龍典氏(京都府開業)は、「アライナー矯正歯科治療2歯を動かす時代から、治療を設計する時代へ」と題して、小児期の骨格設計からインプラント・補綴までを見据えた包括治療を提案。診断、バイオメカニクス、デジタルワークフローを統合した“治療設計”という新しい考え方を症例とともに紹介した。
今回の総会では、アライナー矯正を入口として、歯周組織、咬合、成長発育、補綴、インプラント、さらには気道や全身機能までを包括的に捉える新しい歯科医療の方向性が示された。北九州アライナー咬合学研究会は、今後も全国の歯科医療従事者が学び、交流できる場を提供し、患者利益を最優先とした次世代の歯科医療の発展に貢献していくと思われる。
なお、本総会の最後には、2026~2027年のオンラインにおける定例勉強会のスケジュールと2027年夏に開催予定の第3回総会の開催が発表され、閉会の辞が述べられた。