学会|2026年11月2日掲載
「Aesthetics follows function 美は機能から生まれる」をテーマに、各地から約800名が参集
日本歯科審美学会、第37回学術大会を開催
さる10月31日(土)、11月1日(日)の両日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都)において、日本歯科審美学会第37回学術大会(新谷明一大会長、小峰 太理事長)が開催され、各地から約800名が参集した。
大会テーマである「Aesthetics follows function 美は機能から生まれる」のもと、「アドバンストセミナー1【歯周病】歯周組織の審美」、「アドバンストセミナー2【インプラント】機能とインプラント」、「アドバンストセミナー3【デジタルデンティストリー・IOS】実践IOS道場 IOSと歯科衛生士の新しい役割―機能が導く審美を支えるデジタル連携」、「アドバンストセミナー4【矯正】機能と審美の調和―矯正歯科の視点から」、「アドバンストセミナー5【歯冠修復】部分被覆冠を再考する」、「アドバンストセミナー6【デジタル歯科学会共催セミナー】デジタルを援用して製作された補綴装置の耐久性」、「アドバンストセミナー7【歯科衛生士】審美補綴を支えるメインテナンス戦略」、「アドバンストセミナー8【歯科技工】機能性と審美性の両立」、「アドバンストセミナー9【マテリアル】セラミックを考える」、「アドバンストセミナー10【ホワイトニング】“白さ”だけでは終わらない医療ホワイトニング」の、多彩なアドバンストセミナーが組まれた他、特別講演、海外招待講演、市民公開講座、そしてポスターセッションなどが行われた。
初日に行われた特別講演では、土屋賢司氏(東京都開業)が「審美修復治療を成功させるための機能との融合」、大河雅之氏(東京都開業)が「Classification and Design of Laminate in the Digital Era」と題してそれぞれ登壇した。
土屋氏は、2006年にSpear FM、Kokich VG、Mathews DPによる論文「Interdisciplinary Management of Anterior Dental Esthetics」を通じてインターディシプリナリートリートメントや治療計画における機能と審美の融合の重要性に接したことを契機に包括的歯科臨床に取り組み始めたことを示したうえで、症例を多数供覧。それとともに、治療結果の長期維持に関するリスクファクターや、患者の骨格と調和した補綴治療の理論と実際について詳説した。
引き続き登壇した大河氏は、みずから考案したラミネートベニア支台歯形成のクラシフィケーションや形成量に関する基準などについて示したうえで、上顎6前歯のラミネートベニア修復と顎運動測定・評価システム「ITAKA」(イタリア・ITAKA WAY MED Srl、日本国内未発売)を組み合わせた症例を供覧。審美性の付与はもちろん、術前・術後にデジタル顎運動機能評価を行うことで機能と審美の両立を図ることの重要性について多数の写真・文献とともに示した。
2日目に行われた海外招待講演では、Daniel Edelhoff氏(ドイツ・ミュンヘン大学補綴学講座主任教授)が「The Exploration of Function and Esthetics in the Rehabilitation of the Worn Dentition(Worn Dentitionの再建における機能と審美の探求)」のタイトルで登壇。
Edelhoff氏はまず、高齢化による残存歯の増加と、酸蝕と咬耗が複合したtooth wearの増加を疫学データで示した。そのうえで、2017年に発表された重度tooth wearの管理ガイドラインに関する欧州の専門家コンセンサスステートメントに基づく、病因の特定・安定化・モニタリングから修復介入へ至る手順を解説した。
さらに、ドイツで広く用いられているというTooth Wear Evaluation Systemによる定量評価を解説。顔面成長パターンが摩耗部位と咬合挙上時の開咬リスクを左右する患者関連リスク因子となるため、その評価が重要だと強調した。
Tooth wearの治療については、ワックスアップとモックアップを経て、ミュンヘンスプリントといわれるポリカーボネート製のスプリントを3~6か月装用する“テストドライブ”を行い、そのスプリント上に現れた摩耗ファセットを最終補綴装置へ転写する手法を症例とともに紹介した。
また、補綴材料としては、二ケイ酸リチウムセラミックスが単独歯修復でもっとも長期エビデンスが豊富であること、ジルコニアは軟組織親和性にすぐれる一方で対合歯への影響に留意すべきことを長期臨床データで示した。
同じく2日目に行われた「アドバンストセミナー7【歯科衛生士】審美補綴を支えるメインテナンス戦略」では、野本俊太郎氏(東京歯科大学クラウンブリッジ補綴学講座准教授)が「審美補綴治療のメインテナンスで求められる歯科材料学」の題で登壇した。
象牙質研磨力の評価値であるRDAについて整理した後、文献をもとにエナメル質や象牙質、およびレジンやシリカ系セラミックス、ジルコニアなどの材料ごとに歯磨剤やPMTCペーストによる影響を詳説。歯質および各材料の特性を理解したポリッシングの重要性を強く訴えた。
続いて、小林明子氏(小林歯科医院、歯科衛生士・歯科技工士)が、「~審美歯科におけるメインテナンスを極めよう~審美歯科治療を支える歯科衛生士のプロフェッショナルケア」の題で登壇し、治療を長持ちさせるための知識と、患者コミュニケーションの大切さについて、症例を交えながら紹介した。補綴装置の状況(形態、素材、付着物)や歯周組織の状況を見極めたうえで、補綴装置の経年劣化や組織の変化を考えていかなければならないと提言した。
なお、次回の第38回学術大会は、きたる2027年12月18日(土)、19日(日)の両日、グランキューブ大阪(大阪府)において行われる予定。