2021年6月15日掲載
日本酒「SAKE」の世界へようこそ
美酒へのいざない (第5話)
第5話:人が繋がって成り立つ「究極の食中酒」
新澤醸造店がこだわる酒造好適米を使用するわけ
日本酒は、何を原料にして、どのように造り、どのような風に流通しているのか、皆様は想像できますでしょうか? 時折、20代の方々と話をしていると日本酒の原料すらわからないなどの声を聞き、カルチャーショックを受けてしまいます。約150年続く酒蔵の人間として、かつ長い歴史のうえに成り立つ日本酒文化の担い手の一人としまして、若い世代や未だ日本酒に接していない方々にも日本酒の本質や魅力などを今後もていねいに伝えていかねばならないと日々感じています。皆様もできましたらご協力いただけますと幸いです。
日本酒の主原料の一つは米です。特に日本酒の原料用に育種された品種のことを酒造好適米(醸造用玄米)といいまして、新澤醸造店では1987年宮城県にて誕生した「蔵の華」という酒造好適米を大切にしています。世界一の精米を駆使して造り上げる弊社の「零響」(500ml/385,000円)も「蔵の華」を用いています。その「蔵の華」を含め、原料米の多くは地元の契約農家さんたちから仕入れています。酒造好適米の栽培は、一般的なコシヒカリなど飯米とは異なり、栽培にはいっそうの手間暇がかかります。また、主原料ゆえに栽培の時点から日本酒を味わう土台作りは始まっていますので、弊社では契約農家さんたちと何十年もの信頼関係を重ねて、切磋琢磨してより良い日本酒を造ろうと毎年励んでいます。
徹底した品質管理――「究極の食中酒」を目指して
米を主原料として多彩な味わいを表現できるのは日本酒造りの魅力の一つでもあります。その際に大切なのは「どの味わいを強く目指すか」だと私は考えています。私が立ち上げました弊社のブランド「伯楽星」は「究極の食中酒」という、一見するとややオーバーな表現かもしれませんが、その文言を当初からのテーマとして強く掲げました。
例えば、ロマネ・コンティやモンラッシェ、あるいはシャト・マルゴーなどのワインが、辛口か否かはほぼ問われることもなく、フレンチのコースとともにボトル一本が楽しまれています。しかし、日本酒が辛口なのかという話題は往々にしてよくあります。甘口だと1杯でも飲み疲れてしまい、食事が滞るというような共通認識があるかもしれませんが、「伯楽星」も今までたくさんそのような質問を受けました。甘口か辛口かで言われますと、一応に辛口と表現はできますが、単純な二元論では言い表せない味わいが当然あります。辛口でスイスイと食事とともに進む日本酒、それでいて1杯、2杯、3杯と杯数が重なるような魅力がある酒、そのような味わいを目指しています。
もちろん、そのような味わいを目指したからといって確実に仕上げることができるかといえばまったく別問題です。その実現のために20代の杜氏をはじめ酒蔵のスタッフ、そして私もつねに技術の研鑽と味わいのアップデートを行っています。余談ですが「究極の食中酒」の文言は商標を獲得していますので、もし他社さんの日本酒でそのような表記を見かけられた際にはぜひ私までご一報くださいませ(笑)。
日本酒の品質維持という点では冷蔵温度帯での管理がベストです。冷蔵庫であり、宅配便のクールです。日本酒業界を見回しますと、そのような管理を必要としないブランドや味わいのものもあります。ただ弊社では、すべての日本酒ができあがったのちは冷蔵庫(マイナス5℃)にて管理しています。そのために家が一軒新築できるほどの投資をしています。それほど品質維持は大切だと弊社は考えています。
したがって「伯楽星」は、スーパーマーケットなどでパック酒とともに常温陳列の棚に並ぶことはありません。冷蔵管理を約束し、「伯楽星」のテーマに共感してくださった酒販店さんのみに流通しています。その酒販店さんたちもそれぞれに「伯楽星」をていねいに伝えて一般の飲み手さんや飲食店さんに販売してくださり、それによって酒蔵にてできあがった品質と遜色ない味わいをお楽しみいただいています。本当に感謝しかありません。
景気に左右?!日本酒業界にある都市伝説
最後に、日本酒業界には、好景気だと辛口が増え、不景気だと甘口が増える、という都市伝説(?)があります。さまざまな解釈がありますが、一つには不景気で日本酒が売れにくくなると酒蔵の方でインパクトを打ち出そうとするようになり結果的に甘口が増える、といった趣旨です。しっかりとしたエビデンスがあるわけではありませんが、私の肌感覚として実際にあるような気もします。日本酒は前述のようにたくさんの人たちが携わって仕上がっていますゆえ、昨年来よりまだ続くコロナ禍では、甘口の日本酒が増えてきたように感じています。私も模索する日々ですが、皆様の生活の潤いとなるような「究極の食中酒」をお届けできるよう今後も邁進してまいりたいと思います。
日本酒は、何を原料にして、どのように造り、どのような風に流通しているのか、皆様は想像できますでしょうか? 時折、20代の方々と話をしていると日本酒の原料すらわからないなどの声を聞き、カルチャーショックを受けてしまいます。約150年続く酒蔵の人間として、かつ長い歴史のうえに成り立つ日本酒文化の担い手の一人としまして、若い世代や未だ日本酒に接していない方々にも日本酒の本質や魅力などを今後もていねいに伝えていかねばならないと日々感じています。皆様もできましたらご協力いただけますと幸いです。
日本酒の主原料の一つは米です。特に日本酒の原料用に育種された品種のことを酒造好適米(醸造用玄米)といいまして、新澤醸造店では1987年宮城県にて誕生した「蔵の華」という酒造好適米を大切にしています。世界一の精米を駆使して造り上げる弊社の「零響」(500ml/385,000円)も「蔵の華」を用いています。その「蔵の華」を含め、原料米の多くは地元の契約農家さんたちから仕入れています。酒造好適米の栽培は、一般的なコシヒカリなど飯米とは異なり、栽培にはいっそうの手間暇がかかります。また、主原料ゆえに栽培の時点から日本酒を味わう土台作りは始まっていますので、弊社では契約農家さんたちと何十年もの信頼関係を重ねて、切磋琢磨してより良い日本酒を造ろうと毎年励んでいます。
徹底した品質管理――「究極の食中酒」を目指して
米を主原料として多彩な味わいを表現できるのは日本酒造りの魅力の一つでもあります。その際に大切なのは「どの味わいを強く目指すか」だと私は考えています。私が立ち上げました弊社のブランド「伯楽星」は「究極の食中酒」という、一見するとややオーバーな表現かもしれませんが、その文言を当初からのテーマとして強く掲げました。
例えば、ロマネ・コンティやモンラッシェ、あるいはシャト・マルゴーなどのワインが、辛口か否かはほぼ問われることもなく、フレンチのコースとともにボトル一本が楽しまれています。しかし、日本酒が辛口なのかという話題は往々にしてよくあります。甘口だと1杯でも飲み疲れてしまい、食事が滞るというような共通認識があるかもしれませんが、「伯楽星」も今までたくさんそのような質問を受けました。甘口か辛口かで言われますと、一応に辛口と表現はできますが、単純な二元論では言い表せない味わいが当然あります。辛口でスイスイと食事とともに進む日本酒、それでいて1杯、2杯、3杯と杯数が重なるような魅力がある酒、そのような味わいを目指しています。
もちろん、そのような味わいを目指したからといって確実に仕上げることができるかといえばまったく別問題です。その実現のために20代の杜氏をはじめ酒蔵のスタッフ、そして私もつねに技術の研鑽と味わいのアップデートを行っています。余談ですが「究極の食中酒」の文言は商標を獲得していますので、もし他社さんの日本酒でそのような表記を見かけられた際にはぜひ私までご一報くださいませ(笑)。
日本酒の品質維持という点では冷蔵温度帯での管理がベストです。冷蔵庫であり、宅配便のクールです。日本酒業界を見回しますと、そのような管理を必要としないブランドや味わいのものもあります。ただ弊社では、すべての日本酒ができあがったのちは冷蔵庫(マイナス5℃)にて管理しています。そのために家が一軒新築できるほどの投資をしています。それほど品質維持は大切だと弊社は考えています。
したがって「伯楽星」は、スーパーマーケットなどでパック酒とともに常温陳列の棚に並ぶことはありません。冷蔵管理を約束し、「伯楽星」のテーマに共感してくださった酒販店さんのみに流通しています。その酒販店さんたちもそれぞれに「伯楽星」をていねいに伝えて一般の飲み手さんや飲食店さんに販売してくださり、それによって酒蔵にてできあがった品質と遜色ない味わいをお楽しみいただいています。本当に感謝しかありません。
景気に左右?!日本酒業界にある都市伝説
最後に、日本酒業界には、好景気だと辛口が増え、不景気だと甘口が増える、という都市伝説(?)があります。さまざまな解釈がありますが、一つには不景気で日本酒が売れにくくなると酒蔵の方でインパクトを打ち出そうとするようになり結果的に甘口が増える、といった趣旨です。しっかりとしたエビデンスがあるわけではありませんが、私の肌感覚として実際にあるような気もします。日本酒は前述のようにたくさんの人たちが携わって仕上がっていますゆえ、昨年来よりまだ続くコロナ禍では、甘口の日本酒が増えてきたように感じています。私も模索する日々ですが、皆様の生活の潤いとなるような「究極の食中酒」をお届けできるよう今後も邁進してまいりたいと思います。