関連キーワード

2023年12月号掲載

こども家庭センターで求められる歯科の体制整備

 2022年6月、「こども家庭庁設置法」と「こども基本法」が成立し、2023年4月1日にこども家庭庁が発足した。その発足にともない、2024年4月以降は市町村に「こども家庭センター(以下、本センター)」の設置の努力義務が課せられる。

 本センターは、すべての妊産婦や乳幼児の健診や保護者の相談を受ける「子育て世代包括支援センター」と、虐待や貧困など支援を必要とする家庭に対応する「子ども家庭総合支援拠点」を一体化させるものである。

 岩手県においては、児童福祉法の改正を受けて、本センターの整備に対する支援の補正予算を議会に提出するなど、着々と準備が進められている。

 しかしながら、4月にこども家庭庁が発足されたものの、その活動に関して地域や自治体によって温度差があり、浸透しているとは言いがたい。そこで、岩手県歯として歯科関係職種の配置の義務化や関係職種との対応・連携などについて意見交換を図るべく、先般研修会を開催した。本県だけでなく母子保健、特に母子歯科保健で何が重要であるのか、市町村の対応・連携についても議論する必要があるだろう。

 日本歯科医師会は、令和6年度制度・予算に関する重点要望項目として、妊娠期から子育て期における歯科の体制整備などを国に要望している。

 地方においては、医院継承も対応が急務である。歯科医師の高齢化によって閉院や廃業が増加すれば、地域の歯科医療ならびに歯科保健が提供できなくなるからだ。対応は待ったなしである。