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2012年5月17日

国際医療福祉大学三田病院、新オープン記念学術講演会を開催

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 さる5月17日(木)、国際医療福祉大学三田病院(東京都)が新しく竣工したのを記念し、新病院のオープンセレモニーの1つとして同大学口腔外科(朝波惣一郎教授)による学術講演会が開催された。

 会場では、「非歯原性疼痛」と題するテーマで井川雅子氏(静岡市立清水病院歯科口腔外科)が登壇。歯が原因の痛みではないにもかかわらず、耐えがたい歯痛のために歯科医院を受診する患者がいる。診査しても歯には原因が見当たらないのだが、患者の強い訴えに抜髄するが痛みが治まらない。痛みをとろうと長期間根管治療をしても痛みがとれず抜歯にいたるが、それでも痛みは治まらない。痛みは他の歯に移り、同じ処置を繰り返してしまうということもあるという。なかにはこのような非歯原性疼痛を診断できなかったために訴えられ損害賠償責任が認められたケースもあるという。そこで氏は、非歯原性疼痛の分類、(1)筋・筋膜性歯痛、(2)神経血管性歯痛、(3)心臓性歯痛、(4)神経障害性歯痛(発作性:三叉神経痛、持続性:退場疱疹性神経痛)、(5)上顎洞性歯痛、(6)特発性歯痛(非定型歯痛)、(7)神経疾患による歯痛、その他のさまざまな疾患により生じる歯痛、をそれぞれやさしく特徴と治療法について解説した。そして本症が疑われる場合は、治療をせずに専門医に紹介することをすすめ、講演をまとめた。

 次に「大規模震災時の歯科医師の役割」と題するテーマで熊谷章子氏(岩手医科大口腔外科)が登壇。氏は東日本大震災時に派遣された身元確認作業の現場の状況について資料をもとに詳説した。

 大規模災害や多量の犠牲者が発生する事故における歯科医師の役割として、(1)災害現場でご遺体の口腔内所見とエックス線写真から死後記録(デンタルチャート)の作成、(2)身元不明者の生前資料の提供、(3)犠牲者(行方不明者)の歯科診療記録やエックス線写真の解読から生前のデンタルチャートの作成、(4)生前と犠牲者のデンタルチャートの比較照合による個人識別、の4点を挙げた。また、問題点として(1)大規模災害時の歯科的個人識別作業について、日本国内での方針が統一されていない、(2)生前記録・死後記録のデータ管理などシステムがまったく構築されていない、(3)歯科法医学者の地位が確立されていない、(4)身元確認における歯科的個人識別に責任をもつ組織がない、(5)これほど大規模災害時に海外からの援助を受け入れる窓口がない、と5点を挙げた。