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2012年5月26日

2012 Penn Endodontic Global Symposium in Japan盛況

東京に「礎石の州」の風、吹き荒れる

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 さる5月26日(土)、27日(日)の2日間、ベルサール新宿セントラルパーク(東京都)において、「2012 Penn Endodontic Global Symposium in Japan」(ペンシルバニア大学歯学部主催)が320名超の参加者を得て、盛大に開催された。本シンポジウムは、近年、マイクロスコープ、マイクロサージェリーの臨床が本邦ではよく知られ、またエンド領域の巨匠Dr. Louis I Grossmanの考え方の流れを汲むペンシルバニア大学歯学部歯内療法学科のメンバー(主任教授:Dr. Syngcuk Kim)がこぞって来日し、日本の臨床家向けにシンポジウムを行うということで、かねてから注目を集めていたもの。なお、本シンポジウムのモデレーターをつとめた澤田則宏氏(東京都開業)、牛窪敏博氏(大阪府開業)、井澤常泰氏(東京都開業)、石井 宏氏(東京都開業)の4名はいずれも同大留学経験者である。

 初日はProf. Kimの挨拶の後、ペンシルバニア大の学長であるDr. Denis Kinane、今やペンシルバニア大の臨床教授になっているDr. Martin Tropeが午前の講演。ランチョンセミナーをはさんで午後はDr. Tropeが再度登壇し、それを受ける形でDr. Gilberto Debelian、Dr. William Cheung、最後に石井氏が登壇。2日目は須田英明氏(医歯大教授)、Prof. Kim&Dr. Francesco Maggiore&Dr. Read Kasemのトリオによる講演。ランチョンセミナーをはさんでDr. Christof PertlとDr. Frank Setzerの連名講演、Dr. Bekir Karabucak、Dr. Meetu R Kohliの順で講演が行われた。Dr. Trope、須田氏以外の演者は一度はペンシルバニア大のエンド教室の扉を叩いた経験の持ち主で、Dr. Grossmanの考え方を受け継ぐ精鋭たちばかり。基礎から臨床まで、エンドの本質をとらえた講演に参加者が熱心に聞き入る姿が印象的なシンポジウムであった。

 本邦ではどちらかというとHow toや道具・器材に焦点が当てられ気味であるが、ペンシルバニア大での教育は、すべてが生物学的原理・原則に則ったもの。また、AAE(米国歯内療法学会)には確固たる歯内療法のディシジョンツリーが存在し、エンド専門医はそれに則って治療を進めていくことで成功率を高くしている。とくに初日の「Management of the Biofilm in Endodontics(歯内療法でのバイオフィルムのマネージメント」(Dr. Kinane)~「Treatment of Apical Periodontitis―Biological Principles of Endodontic Therapy(根尖周囲組織炎の治療―歯内療法の生物学的原理」(Dr. Trope)の3つの講演にこのことが集約されていた。さらに、「インプラントVSエンド(歯内療法医と口腔外科医の視点から)」、「非外科的歯内療法と外科的歯内療法のガイドライン」など、日本の臨床事情と照らし合わせても面白いテーマが並び、盛況のうちにシンポジウムは閉会した。