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2013年7月20日

第24回日本歯科審美学会学術大会開催

「歯科審美 調和の医療」をテーマに

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 さる7月20日(土)から21日(日)の2日間、日本歯科大学生命歯学部(東京都)において第24回日本歯科審美学会学術大会(奈良陽一郎大会長、千田 彰学会長)が「歯科審美 調和の医療」をテーマに開催された。会場では各種シンポジウム、教育講演、ポスター発表、市民公開講座などが多数開催され、のべ約650名が参加する盛会となった。以下、主要な演題について概説する。

(1)シンポジウム1「三位一体の歯科審美医療」(近藤隆一氏〔歯科医師・東京都開業〕、五十嵐 智氏〔歯科技工士・Correct-design〕、山羽京子氏〔歯科衛生士・愛院大歯学部附属病院〕)

 本シンポジウムでは、近藤氏が「ホワイトニングは審美歯科の基本型、そして三位一体は成功へのキーワード」と題し、また五十嵐氏が「機能美と審美を確立するために必要な、チェアサイドとの情報共有とその具体的事項」と題し、そして山羽氏が「審美歯科治療におけるチーム医療の現状と課題 ~大学病院に勤務する歯科衛生士の立場から」と題してそれぞれ講演。演題のとおり、まずはホワイトニングをきっかけとした患者のモチベーションの向上および歯科技工士によるカスタムトレーの製作法などについて近藤氏が講演し、その後五十嵐氏は審美的なボーンアンカードブリッジ製作のために必要な歯科医療チームでの情報共有について、そして山羽氏は、患者へのブラッシング指導を通じて得られた情報を歯科医師および歯科技工士に提供・共有することなどについて提案。全体を通じ、キャリアのある演者らが平素から考えている情報共有法とその有用性について考えさせられるシンポジウムとしていた。

(2)シンポジウム3「和による米国Esthetic Dentistry」(清水直樹氏〔歯科医師・米国テキサス州開業〕、鈴木貴規氏〔歯科医師・ニューヨーク大歯学部歯周インプラント科〕、鈴木司郎氏〔歯科医師・アラバマ大歯学部補綴・修復学/鈴木歯科医院〕)

 本シンポジウムでは、清水氏が「アメリカにおける臨床審美歯科」、鈴木貴規氏が「ニューヨーク大学歯学部におけるインプラント歯科審美の診療計画」、そして鈴木司郎氏が「患者主導型の審美歯科治療について」と題してそれぞれ講演。清水氏は主に1994年に広島大大学院を退職してから1998年に米国で開業するまでのストーリーと自らの診療スタイルについて、鈴木貴規氏は米国における最近の歯学教育事情や、同じく求められる審美修復治療の傾向について、そして鈴木司郎氏はアラバマ大での17年間を経て帰国・開業した経験を踏まえ、日米間での審美修復に関する意識の違いや、患者が支払うことのできるコストに応じて提供可能な審美修復の種類、さらには日本の保険診療の制約の中で可及的に審美性を追求した症例などを提示した。活躍する場所は異なれど、日本人ならではの細やかさが審美修復に生かされていることが感じられるシンポジウムであった。

(3)シンポジウム4「ホワイトニングから始める持続的口腔管理」(椿 智之氏〔歯科医師・東京都開業〕、佐藤祥子氏〔歯科衛生士・昭和大歯科病院歯科衛生室〕、鍜治田忠彦氏〔歯科技工士・昭和大歯科病院歯科技工室〕)

 本シンポジウムでは、椿氏が「ホワイトニング&プリベンション」、佐藤氏が「歯科衛生士に必要な口腔予防管理とホワイトニングの知識」、そして鍜治田氏が「天然歯と補綴歯の調和を目指して」と題してそれぞれ講演。椿氏は主に「ホワイトニングを受けた患者のメインテナンス継続率は高い」という論点から、材料選択や治療法の注意点、そしてフォローアップ時のノウハウについて詳述した。また佐藤氏は、日本歯科審美学会による認定資格「ホワイトニングコーディネーター」がホワイトニングの臨床において果たす役割や患者とのコミュニケーションの要点などについて、そして鍜治田氏は歯科技工士の立場から、最近では固定性・可撤性を問わずより明るいシェードの補綴物が求められるようになってきたという話題を軸に、その要求と提供する補綴物に齟齬を生じないようなシェードテイキングの要点、また隣在歯にホワイトニングを行った場合に補綴歯に違和感を生じさせないためのステインの利用法など、多岐にわたって解説した。「ホワイトニングコーディネーター」が関係者に人気の同学会のシンポジウムにふさわしく、ホワイトニングを軸にした患者とのかかわり、および歯科治療へのモチベーションの向上についてのヒントが満載のシンポジウムとなっていた。