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2015年4月18日

日本顕微鏡歯科学会第12回学術大会開催

「拡げてみよう臨床・教育・研究」をテーマに

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 さる4月18日(土)、19日(日)の両日、一橋講堂(東京都)にて、日本顕微鏡歯科学会第12回学術大会(山本昭夫大会長、辻本恭久会長)が「拡げてみよう臨床・教育・研究」をテーマに開催され、歯科医師、歯科衛生士ら約600名が参集し盛会となった。

 まず初日は、昨年の第11回学術大会において大会長賞を受賞した高田光彦氏(兵庫県開業)が「科学的コンポジットレジン治療」と題して講演。術者の技量によるところが大きいコンポジットレジン修復であるが、誰が行っても確実な結果が得られる「科学性」が必要としたうえで、治療ステップのポイントについて症例を通してわかりやすく解説した。

 特別講演では、米国より招聘したGeorge Bogen氏(米国開業)が「Advances in Vital Pulp Therapy」と題して登壇。氏はまず歯髄保存の重要性を述べたうえで、露髄した際は10分以内に止血できれば可逆性歯髄炎、止血できなければ不可逆性歯髄炎と判断しているとし、生活歯髄に対するMTAの有用性を多くの症例とともに解説。歯髄を残すことで医療人として患者さんに貢献することの大切さを説いた。

 2日目の歯科衛生士シンポジウム「顕微鏡歯科衛生士が後輩に伝えたいこと」では、安田(吉岡)美奈氏(日大松戸歯学部付属病院)、上田こころ氏(武井歯科クリニック)、和田莉那氏(吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック)がそれぞれ講演。いずれの演者も、歯科衛生士が日常臨床でマイクロスコープを使用する有用性や、患者さんとのコミュニケーション時のポイントなどを自身の経験に基づき紹介した。

 シンポジウム「マイクロエンドサージェリー 術式から予後観察までのエビデンスを考える」では、まず小川 将氏(群馬大)が「広範囲(3歯以上)に進展した歯根嚢胞に対する顕微鏡視下歯根尖切除術の適応」と題し講演。顕微鏡視下歯根尖切除術の利点として、適切な歯根尖切除量、最小限の象牙細管露出、歯根尖切除断面の状況確認、逆根管充填による緊密な根管封鎖、歯根周囲の確実な病変除去を挙げた。

 最後に、清水藤太氏(米国開業)が「To bone, or Not to bone エンド外科におけるGBRが果たしうる役割とその限界、そして今後の展望について」と題して登壇。氏のエンド外科に対する考え方の変遷を多数の症例とともに提示しながら、エンドでは歯冠側からアプローチと外科処置の両方をできることが重要と強調。さらに、従来の「エンドvsインプラント」といった対立的な構図ではなく、今後は両者の仲介役としての外科の役割を模索すべきとまとめた。その後のディスカッションでも多くの質問などが寄せられるなど、終始盛会のうちに終了した。

 なお、次回の第13回学術大会は、2016年4月23日(土)、24日(日)の両日、ニューオータニイン札幌(北海道)にて川上智史大会長(北海道医療大教授)のもと「顕微鏡が歯科医療を変える!」をテーマに開催予定。