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2015年4月25日

第6回日本デジタル歯科学会学術大会開催

約580名を集める盛会に

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 さる4月25日(土)、26日(日)の両日、福岡国際会議場(福岡県)において「第6回日本デジタル歯科学会学術大会」(日本デジタル歯科学会主催、末瀬一彦会長、佐藤博信大会長、松浦尚志実行委員長、第1回九州オールセラミックを語る会共催)が開催された。年々注目度を増す本学会であるが、今回も約580名が全国各地から参集する盛会となっていた。

 初日の会場ではまず、佐藤氏が「デジタル口腔医療の歴史、現在と未来」と題して大会長講演を行い、続いて主要メーカー6社(Ivoclar Vivadent、シロナデンタルシステムズ,モリタ、3Shape、3M ESPE、Carestream Dental、大信貿易)の最新事情について解説する「企画講演1~6」が行われた。その後、海外招待講演1としてJörg Rudolf Strub氏(フライブルク大)が「Digital intraoral impressions –where do we stand?」と題して登壇。口腔内のデジタルデータ化の中でも、口腔内スキャナーを用いた方法について焦点を絞り、従来法との精度や時間の比較、そしてケースプレゼンテーションなどを発表。最近のスキャナーを用いれば全顎の印象採得に必要な時間は従来法よりも短縮できるといったデータや、インプラントの印象採得においては4本以上採得する場合には従来法のほうが未だに精度的に有利といったデータを示し、注目を集めた。また、今後の展望として、無歯顎の印象採得の精度向上と、歯肉縁下の軟組織を透過できるテクノロジー(超音波法、レーザー法)の進化を挙げた。

 また2日目の午前には、海外招待講演3題が相次いで行われた。海外招待講演2に登壇したShin Jun Hyouk氏(韓国開業)は「Waiting for Digital Art: Digital Dentistry」と題し、審美性にすぐれたジルコニア製フルカントゥアボーンアンカードブリッジを供覧した。また、海外招待講演3に登壇したDong Keun Chung氏(DIO Corporation)は「Esthetic Predictability of Digital Implantology」と題し、韓国DIO社のサージカルガイドシステム「DIO navi」を用いたインプラント症例について供覧した。そして海外招待講演4にはTommaso Cantoni氏(イタリア開業)が登壇し、「Implant treatment planning with guided surgery in post-extraction cases and a new integrated digital treatment workflow」と題し、ノーベルバイオケア社のサージカルガイドシステム・NobelGuideのうち、ラジオグラフィックテンプレートを前後に2分割して使用する方法と、石膏模型上の残存歯・支台歯をスキャンすることでラジオグラフィックテンプレートを省略する「Smartfusion」の実例と注意点について詳説した。

 その後、各社によるランチョンセミナーを挟み、2日目午後からはシンポジウム2題が行われた。シンポジウム1は、日本歯学系学会共催の「産学官連携を含めた医療機器開発の現状と課題」と題し、橋爪 誠氏(九大先端医療イノベーションセンター)、佐々木啓一氏(東北大大学院歯学研究科 口腔システム補綴学分野)、樋口鎮央氏(和田精密歯研)、伊達佑生氏(群馬大医学部附属病院臨床試験部)が登壇。医科領域における最新のテクノロジーをはじめ、日本国内における産学官連携におけるメリット・デメリット、および医薬品医療機器総合機構の業務内容や、未承認医療機器に関するいわゆる「医師の裁量」の範囲などについて述べられた。また、シンポジウム2は「インプラント治療におけるデジタルワークフローの実際」と題し、城戸寛史氏(福歯大咬合修復学講座インプラント学分野)と野林勝司氏(NKデンタルクラフト)が登壇。上述のSmartfusionの精度的な有用性に加え、石膏模型やワックスアップが必須となることにより、歯科技工士とこれまで以上の連携が生まれる点などについて強調した。また、会期中は一般口演12題、ポスター発表19題も併せて行われ、それぞれが昨今のデジタルデンティストリーに即した内容としていた。

 なお、共催された「第1回九州オールセラミックを語る会」は、今回の大会長を務めた佐藤氏と岡村光信氏(福岡県開業)が発起人代表となり、九州地区を中心にオールセラミックスの診療・研究・教育に携わる関係者のための発信の場として設立されたグループ。『QDT』誌上で執筆多数の蒲池久美子氏(元・ボストン大歯学部臨床准教授、米国開業)による海外招待講演「デジタル補綴臨床インUSA」および、教育演題が4題行われた。

 来年度は主管校を北海道医療大学とし、疋田一洋大会長のもと、きたる2016年5月28日(土)、29日(日)にかけ、北海道立道民活動センター かでる2・7(北海道)にて開催されるとのこと。