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2016年3月12日

災害時の「食べる」を支えるシンポジウム開催

多職種が一堂に会し、相互理解を深める場となる

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 さる3月12日(土)、東京医科歯科大学(東京都)において、災害時の「食べる」を支えるシンポジウム(日本災害時公衆衛生歯科研究会主催)が「大規模災害時の避難所などにおける食糧支援のあり方について~情報の共有化と評価~」のテーマのもと開催され、約100名の参加者を集めて盛大に開催された。

 座長である中久木康一氏(医歯大)の開会挨拶の後、保健師の奥田博子氏(国立保健医療科学院)が、「災害時の『食べる』を支える保健師の役割」と題して講演。地域健康課題を解決する保健師としての役割を紹介し、予防に携わるなかで1つの専門職だけでなく他職種との連携によって解決していくことの重要性を訴えた。

 次に、歯科医師の佐藤 保氏(岩手県歯科医師会会長)が登壇。「『計画』は活かされたのか、活かされるのか」と題し、自身が経験した東日本大震災での活動、そして災害時に歯科医師ができることについて述べた。また、「生きることは食べること 食べることは生き続けること」という歯科医師会の考え方も紹介し、被災地における介護、予防のための政策づくりの必要性を挙げた。

 歯科衛生士の久保山裕子氏(日本歯科衛生士会副会長)は「災害時の『食べる』を支える歯科衛生士の役割」の演題で講演。日本歯科衛生士会の被災地での活動を紹介するとともに、東日本大震災後見えてきた課題から「災害支援活動歯科衛生士実践マニュアル」を作成・改訂したことにも触れた。今後は多職種と相談し合い、連携していく重要性について述べた。

 その後、言語聴覚士の原田浩美氏(日本言語聴覚士協会常任理事)が登壇し、「災害時に言語聴覚士(ST)ができること」と題し、大規模災害リハビリテーション支援関連協議会(JRAT)の活動内容の紹介や、災害時に浮かび上がった問題点を述べた。言語聴覚士ができる生活機能の向上や生活不活発病の予防・改善に加え、情報共有をはじめとする多職種連携のつなぎ役として役割を強調した。

 最後に、管理栄養士の笠岡(坪山)宜代氏(日本栄養士会JDA-DATエビデンスチームリーダー)が登壇。「災害時の『食べる』を支える管理栄養士・栄養士の役割」という演題のもと、日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)の活動を紹介。災害時に必要なスキルと体制から、支援する側の熱意のコントロールまで幅広く述べた。栄養士として災害時にできることに加え、今後は「食べる」を支える職種ごとの強みを共有する大切さをアピールした。

 講演終了後の討論会では座長の中久木氏の進行のもと、会場からの質問に各演者が回答。被災地域における各専門職間での保健医療情報の共有化と活用の仕組みづくりが求められていることが確認された。