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2016年7月17日

第29回(一社)日本顎関節学会総会・学術大会開催

「『日本の顎関節症治療を変える』―臨床研究と科学の調和をめざして―」をメインテーマに

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 さる7月17日(日)、18日(月)の両日、湯本富士屋ホテル(神奈川県)において、第29回一般社会法人日本顎関節学会総会・学術大会(久保田英朗大会長、小林 馨理事長)が「『日本の顎関節症治療を変える』―臨床研究と科学の調和をめざして―」をテーマに開催され、650名が参集した。

 1日目は開会式ののち、メインシンポジウム「顎関節症病態分類2013の実施と検証」が行われた。久保田英朗氏(佐賀大)、矢谷博文氏(阪大大学院)、築山能大氏(九大大学院)、有馬太郎氏(北大大学院)、松香芳三氏(徳島大大学院)、覚道健治氏(大歯大)が登壇し、2013年に改定された顎関節症病態分類についての事前アンケート結果の分析や問題点、DC/TMDと顎関節症病態分類との相違点、DC/TMD診断樹の活用法や重複診断結果の活用等について講演された。

 その後のシンポジウム1「神経学的異常による顎関節脱臼の治療戦略」では川上哲司氏(奈良県立医科大)、堀川博誠氏(奈良県立医科大附属病院)、吉田和也氏(京都医療センター)が登壇し、神経学的異常による顎関節脱臼について、全身状態とのかかわりや治療法について講演された。シンポジウム2「変形性顎関節症への取り組み―小児から高齢者まで―」では、高橋 哲氏(東北大大学院)、五十嵐千浪氏(鶴見大)、田中栄二氏(徳島大大学院)、窪木拓男氏(岡山大大学院)が登壇し、変形性顎関節症の患者の傾向や画像診断における所見、複数の専門科のかかわりや多岐にわたる治療法とその選択が問われる治療の実際について講演された。

 また、イブニングセミナーの「セルフケアで治す顎関節症」(講師:島田 淳氏〈東京都開業〉、渡邊友希氏〈昭和大〉、澁谷智明氏〈日立製作所横浜健康管理センタ〉、渡邉 勉氏〈目白大人間学部心理カウンセリング学科〉)や教育セミナー3「慢性疼痛への心身医療/歯を食いしばってがんばってきた人々への癒しを創造するアプローチ」(講師:細井昌子氏〈九大病院心療内科〉)では、顎関節の痛みを訴える患者が、どのような成育歴や家族関係、生活環境等の背景因子をもっているかをくみ取り、いかにポジティブなセルフケア、プロケアにつなげていくかという心理学的・精神医学的アプローチが示された。

 その他、Per Alstergren氏(スウェーデン・マルメ大)の招聘講演「DC/TMD consortium update」をはじめ、細井氏の講演を含む5つの教育セミナー、一般口演、ハンズオンセミナー、ランチョンセミナー、ランチタイムセミナー、平成27年度学会賞学術奨励賞受賞講演が行われ、盛りだくさんの内容に参加者からも質疑応答が飛び交う、熱気のある学術大会となった。