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2016年10月21日

第23回日本歯科医学会総会、九州で盛大に開催

「歯科医療 未来と夢」をテーマに約9,000名が集う

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 さる10月21日(金)から23日(日)の3日間、福岡国際会議場/福岡サンパレス(福岡県)において、第23回日本歯科医学会総会(水田祥代会頭、堀 憲郎日歯会長、住友雅人学会長)が、総会史上初となる九州で盛大に開催された。超高齢社会における国民の健康増進に貢献する歯科医療として、その役割が期待されるなか、歯科関係者が一堂に集い4年に一度開かれる本総会が、国内外の第一線で活躍する演者を多数迎え、講演やシンポジウム、歯科医師会プログラム、分科会プログラム、ポスターセッションなど、多彩なメニューにて繰り広げられた。

 まず山中伸弥氏(京大iPS細胞研究所所長・教授)と向井千秋氏(東京理科大特任副学長)のお二人を演者に迎えた開会講演を開催。山中氏は、ノーベル生理学・医学賞を受賞したiPS細胞研究をテーマに、その現状と医療応用に向けた取り組みについて講演。2014年には眼科領域におけるiPS細胞を使った細胞シートを移植する臨床研究が開始されるなど、医療分野における応用が進展していることを紹介した。また再生医療だけでなく、創薬への応用や、病態の事前予測により適切な治療へとつなげる「個別化医療」「先制医療」の提供にも活用できるなど、その可能性や新たな展開を示した。さらに、永続的に研究を続けるための人材や財源確保の必要性を訴え、夢の実現に向けて、その理解と支援を呼びかけた。

 向井氏は、「宇宙飛行から学んだこと―有人宇宙探査と歯科医学への期待―」と題した講演で、宇宙飛行士そして医師の立場から、長期宇宙滞在による老化現象と同様の健康障害の研究は、老齢化社会で健康に生き抜くための情報としても役立つことを紹介し、歯科医学研究もその1つとして研究データを示しながら重要と指摘。講演を通じて、宇宙開発における成果が人類に還元されることへの使命を語った。

 第69回九州歯科医学大会として併催された「美味しく食べて、おしゃべり上手は健康長寿 ~フレイル(虚弱)の克服を目指して…歯科からの提言~」では、演者に大久保満男氏(日本歯科医師会元会長)、辻 哲夫氏(東大特任教授)、綾戸智恵氏(ジャズシンガー)が登壇。大久保氏は、高齢社会における"生活を守る"医療として口から食べるを支える歯科の意義を、辻氏は、地域でのフレイル克服の実践として行ってきた柏プロジェクトの取り組みから、口腔機能を保全することの重要性を、綾戸氏は、軽妙なトークによる母親の介護の経験談をとおして、自分で食べられることの大切さを強調。口腔の健康が生きる意欲につながることを伝える絶好の機会となった。

 また、日本歯科医師会プログラムとして、超高齢社会における歯科の重要な関わりとして食支援の意義を問うた「口から食べるということの意味 ~地域包括ケアにおける歯科の役割~」と、リオでの興奮も冷めやらぬなか、4年後の東京オリンピック開催に関連した「日本のスポーツ振興と歯科医学・歯科医療 ~2020年東京オリンピックに向けて~」の2題が開催され、喫緊の課題に対して歯科として貢献できることを検討した。

 古くからアジア等対外との交流拠点であった九州での開催であり、招聘演者によるプログラムも多数組まれるなど、4年に一度の歯科のイベントとしておおいに盛り上がり、熱気にあふれた3日間であった。