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2019年6月2日

LONE STARS TOKYO MEETING 2019 開催

「EDUCATION × INNOVATION: Inspire students, enrich learning」をテーマに

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 さる6月2日(日)、東京医科歯科大学3号館(東京都)において、Lone Stars Dental Institute(共同設立メンバー:瀧本晃陽氏、Min Seiko〔閔 成弘〕氏、杉田龍士郎氏、遠藤祐人氏)主催のLONE STARS TOKYO MEETING 2019が開催され、170人以上が参集した。

 本会は、日米の卒後専門医教育を修了した歯科医師らによって2018年に設立されたNGO団体・Lone Stars Dental Instituteが開催する初の講演会であり、日米をはじめ世界で活躍する歯科医師のネットワーク構築と、さらなる日本の歯科界の活性化を期待し、世界で活躍できる歯科医師の育成を支援するプロジェクト「ローンスターズ・プロジェクト」の一環として行われた。

 まず進行中のプロジェクト「臨床研究に従事する若手歯科医師対象奨学金基金の設立」「ウェブサイトにおけるエビデンスに基づいた教育(e-Academy)」「海外留学支援」の主旨と内容について共同設立者の瀧本氏、Min氏、杉田氏から説明されたあと、各氏の講演「米国専門医が語る“診断のチカラ”」へと移った。

 まず杉田氏(テキサス大サンアントニオ校歯学部補綴科、米国補綴専門医)は「全顎補綴に必要な咬合の知識」と題し、米国における全顎補綴臨床について講演した。関節窩内でダイナミックに動く下顎頭ゆえに、診査に関する論や概念もさまざま、という全顎補綴のこれまでと、中心位で治療を行う現在の米国のスタンダードに加え、リーフゲージを用いたみずからの臨床について実演を交えて説明した。また「EBMはPUBMEDを場当たり的に検索して、自説を強化することではない。マイルストーンとなる論文を通じて、近代歯科医学を構成する原理、原則、定石を習得することである」とも述べた。

 瀧本氏(東京都開業)は、テキサス大学サンアントニオ校歯学部歯内療法学教室に留学し、歯内療法専門医課程を修了した経験と知見から、歯の疼痛の診査を含めた歯内療法の診断に必要な診査法について解説を行った。米国歯内療法学会(AAE)による分類をもとに、歯髄の診断、根尖部の診断について詳細に説明したあと、歯内療法では診断がまず重要であることを強調した。一方で、外国の事物をそのまま日本に取り入れて喜ぶ人物らに苦言を呈す夏目漱石の書を紹介しながら、海外からの知見に対し盲目的になってしまうのではなく、どのように日本に溶け込ませるかが大切であるとした。

 最後に登壇したMin氏(テキサス大歯学部ヒューストン校Assistant Professor、Preceptorship Program Director)は、「歯周・インプラント疾患新分類の理想と現実」と題し、2017年11月に米国歯周病学会(AAP)と欧州歯周病学会(EFP)の合同ワークショップに端を発した歯周の健康と疾患、およびインプラント周囲疾患に関するグローバルな新分類体系について解説した。20年ぶりに改訂された本分類がすでに欧米で広く紹介され、教育にも用いられていること、また歯周疾患にまつわる歴史やさまざまなエビデンスについて紹介したあと、数々の症例を示しながら新分類ではどのように診断されるかというスタディを行った。さらにMin氏は、「診断ができないと、ミスリーディングしてしまうということをつねに忘れないでもらいたい」と付け加えた。

 若手の歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士が席を埋めた本会は、イノベーティブなプロジェクトや講演内容に、主催者・参加者の熱気がこもるものとなった。

 なお、本会は後日、WHITE CROSS Channelから現地参加者への配慮がある形で有料公開される予定。当日参加費と動画販売の売上は、すべて若手歯科医師の臨床研究の留学などを支援する奨学金基金設立に使われる。