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2019年9月14日

日本歯科衛生学会第14回学術大会開催

「治し支える歯科医療をめざして」をテーマに

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 さる9月14日(土)から16日(月)の3日間、ウインクあいち(愛知県)において、日本歯科衛生学会第14回学術大会(長縄弥生大会長、吉田直美学会長)が「治し支える歯科医療をめざして」をメインテーマに開催された。会場が名古屋駅より徒歩圏内というアクセスの良さから、例年以上に多くの参加者が全国各地から駆けつけ、3日間で2,290名が参集した。本大会では、特別講演、教育講演、シンポジウム、口演発表、ポスター発表、ワークショップ、県民フォーラム、研究討論会など多彩なプログラムで進められた。

 2日目の教育講演では、「適切な『がん口腔支持医療』の提供のために」と題し、上野尚雄氏(国立がん研究センター中央病院歯科医長)が登壇。氏はまず、がんの5年相対生存率が年々向上しているなか、“がんサバイバー”として生活する期間が増えており、だからこそ患者のQOLを考える必要があると述べ、演題にもある「がん口腔支持医療」の意味を説いた。続いて、がん治療のさまざまな場面別に解説。特に薬物療法については、使用される薬剤も次々と変わり、それにともなって副作用として現れる口腔粘膜炎の病態も多岐にわたるため、つねに情報をアップデートすることが必要であると強調した。さらに、緩和ケアについても、今後起こりうる症状を予測し、できる対策を講じることが求められているなど、時代とともに変わるがん治療の“いま”を紹介し、耳目を集めた。

 続いて、シンポジウム「治し支える歯科医療をめざして」が行われた。まず、松尾浩一郎氏(藤田医科大医学部歯科・口腔外科学講座教授)が基調講演を行い、多職種連携における歯科衛生士の大きな役割の1つとして「教育者」という側面を挙げ、周術期口腔機能管理における患者教育と、医療者教育についてそれぞれ解説した。その後、三鬼達人氏(藤田医科大病院看護部看護長)が回復期リハビリテーション病棟、松井俊和氏(豊川青山病院病院長)が療養型病院、田口知実氏(エムズ歯科予防・口腔ケアクリニック・歯科衛生士)が施設での訪問診療と、それぞれの現場で行っている取り組みを紹介した。

 最終日には、特別講演「認知症の人の口を支えるために:歯科治療ガイドラインからの提言」と題し、平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長)が登壇。氏はまず、新オレンジプランを受けて始まった歯科医師認知症対応力向上研修を実施してきたなかで、エビデンスをふまえたガイドラインの必要性を実感したということで、本年6月に発刊された「認知症の人への歯科治療ガイドライン」の作成の経緯にふれた。その後、ガイドラインのクリニカルクエスチョンをふまえて、認知症患者への対応について動画などを交えて提示。ポイントとして、特にアルツハイマー型認知症などは進行性であるため、今後どのような症状が現れるか予測すること、ステージによって変わる症状に対応していくことが強調された。

 なお、次回の第15回学術大会は、きたる2020年9月19日(土)から21日(月)の3日間、大阪国際交流センター(大阪府)において、橋場佳子大会長のもと開催予定。