Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2019年9月22日

ハートリングフォーラム「口から考える認知症」開催

多職種連携と認知症の人が住みやすい社会・まちづくりが課題に

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる9月22日(日)、品川グランドホール(東京都)において、ハートリングフォーラム「『口から考える認知症』2019 in 東京~認知症1000万人時代に光をもたらす視点~」(読売新聞東京本社・NPO法人ハート・リング運動主催、厚生労働省・日本医師会・日本歯科医師会・日本看護協会後援、株式会社ロッテ協賛)が開催された。

 はじめに堀 憲郎氏(日本歯科医師会会長、NPO法人ハート・リング運動代表理事)のビデオによる挨拶の後、以下の講演が行われた。

講演1:「認知症1000万人時代におけるかかりつけ医による認知症に関する取組み」今村 聡氏(日本医師会副会長、NPO法人ハート・リング運動代表理事)
講演2:「食べることの意味を問う」新田國夫氏(医療法人社団つくし会理事長、全国在宅療養支援診療所連絡会会長)
講演3:「咀嚼から認知症を考える」水口俊介氏(医歯大大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野教授、医歯大歯学部附属病院副院長・歯科衛生士総合研修センター長)
講演4:「認知症のなかでの訪問歯科の役割『口から食べる』を支えるために」大川延也氏(東京都開業、NOP法人在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク理事)

 講演の後、休憩を挟んで特別対談が行われ、今村氏、新田氏、大川氏、田村憲久氏(衆議院議員、元厚生労働大臣)、大島一博氏(厚生労働省老健局長)らが登壇した。全体をとおして、超高齢社会の日本において認知症は増加の一途であり、もはや特別な疾患ではなく、認知症になっても安心安全に生活できる社会やまちづくりが重要であることが強調された。しかし、現場では多職種連携がなかなか進んでいないのが現状であり、その原因の1つが医科、歯科、介護などの専門職が高度細分化していることであり、まずはお互いの仕事内容を知り、支える人々が同じ方向を向くための共通言語が必要であるとした。田村氏は具体的に、さる6月の国会において認知症対策の推進を国の責務とした「認知症基本法案」を提出し、「今秋の臨時国会において成立を目指している」と述べた。本法は「予防の推進、認知症の人やその家族の意向や尊厳を守ること」を掲げており、認知症の人と共生できる社会を目指すとしている。

 今後10人に一人が認知症になるといわれる超高齢社会の日本において、かかりつけ医の重要性の周知や社会全体で支えていく仕組みづくりが急務であることは明らかである。今後の動向に注目したい。