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2019年11月23日

エルバ創立25周年記念ヤン・リンデ名誉教授特別講演会が開催

生物学に基づく歯周病学を熱く語った2日間

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 さる11月23日(土)、24日(日)の両日、聖路加大学聖路加臨床学術センター日野原ホール(東京都)において、エルバ創立25周年記念ヤン・リンデ名誉教授特別講演会(寺子屋塾主催)が開催され、全国から歯科医師、歯科衛生士約210名が参加し、盛会となった。

 両日ともにProf. Jan Lindhe(イェテボリ大名誉教授)が登壇し、竹内泰子氏(東京都開業)が通訳を行った。

 1日目の講演の冒頭では、歯周病とはどのような疾患かを解説。その後、歯周病の検査・診断の重要性について述べた。講演内でProf. Lindheは、BoP(bleeding on probing)、PD(probing depth)、PAL(periodontal attachment loss)、bone lossが重要であり、なかでもPDを計測するために使用するプローブは、key instrumentであると述べた。また、さまざまな文献を供覧しながら、主に中等度および重度の歯周病の病態について紐解いていった。

 さらに、米国歯周病学会(American Academy of Periodontology:AAP)と欧州歯周病学会(European Federation of Periodontology:EFP)によって2017年に改訂された歯周疾患の新分類についても解説し、新しい分類は患者説明や歯科医師と歯科衛生士の情報共有手段として非常に有効なものであると述べた。過去から最新の情報まで、ていねいに解説するProf. Lindheの姿は、多くの聴衆を魅了した。

 2日目の講演では、「インプラント治療におけるマイルストーン」と称し、インプラントの発展に寄与したProf. Per-Ingvar Branemark(イェテボリ大、スウェーデン)、Prof. Andre Schroeeder(ベルン大、スイス)、Prof. Michael W Schulte(スタンフォード大、米国)の3人を挙げ、それぞれが開発したインプラントシステムの特徴を解説。いずれのインプラントシステムにおいても、長期間安定させるにはメインテナンスが不可欠であると述べた。また、インプラント周囲炎についてもその病態や治療法を解説。しかし、天然歯の重要性が訴えられ、予防型歯科医療へとシフトしている現在、インプラント治療の件数はその数を減らすと強調した。

 その後、天然歯のなかでも複雑な形態をもつ根分岐部についても取り上げ、根分岐部の解剖学、根分岐部病変の検査・診断方法および治療法を解説。特に根分岐部の解剖学を知ることが、根分岐部病変の治療結果につながると述べた。

 講演後には質疑応答も活発に行われた。そして、「私にとって生涯最後の講演になるかもしれない」と語ったProf. Lindheに盛大な拍手が送られた。