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2020年4月18日

「嘉村田中岩永米国専門医.com」オンライン講演会開催

エンド、インプラント、臨床解剖の講演に200名以上が聴講

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 さる4月18日(土)、「嘉村田中岩永米国専門医.com」オンライン講演会が開催され、インターネットを介し200名以上が聴講した。これは、米国で専門医として研究・診療にあたる嘉村康彦氏(テキサス州ダラス勤務)、田中 毅氏(フロリダ大)、岩永 譲氏(ルイジアナ州ニューオーリンズ勤務)の3氏が主催するグループ「嘉村田中岩永米国専門医.com」が主催したもの。当日は、3氏がそれぞれの専門分野をテーマに講演を行った。
 
 まず、トップバッターとして、米国歯内療法専門医である嘉村氏が「Endodontic Emergency―歯内療法における急患対応」の演題で講演。本年より「the Quintessence」誌にて「“Why?”から“How to”を導く 実践 歯内療法」(田中利典氏:東京都勤務と共著)を連載中の氏は、まず痛みには、“Hyperalgesia”(通常に痛みをともなう侵害に対し、通常よりも強い痛みを感じること。例:アイステストによる長引く痛み)と“Allodynia”(通常は痛みをともなわない侵害に対し、痛みを感じること。例:打診、触診による痛み)があることを解説。また、歯科診療において重要となる「3つのD」、すなわち、1.Diagnosis(診断)、2.Definitive Dental Treatment(根本的歯科治療)、3.Drugs(薬)を紹介し、なかでも術前・術中・術後における投薬についての臨床的なポイントを示した。

 つづいて、米国歯周病専門医である田中氏が「インプラント治療計画の立て方」と題して講演した。本年より「Quintessence DENTAL Implantology」誌にて「米国歯周病専門医が教えるインプラント基礎講座」を連載中である氏は、まずインプラント治療における「成功の基準」について解説。「成功の基準」はさまざまあるが、なかでももっとも頻用されている基準が1986年のものであることの問題点について氏の見解を示した。また、インプラント治療においては「なぜ、その部位にインプラントを埋入するのか」という“治療コンセプト”が重要であるが、それが軽視されがちな現在の風潮に警鐘を鳴らした。

 最後に岩永氏が「Evidence-based Clinical Dental Anatomy―解剖のエビデンスを見直す」と題して講演。「下顎孔伝達麻酔には本当に下顎大臼歯の頬側歯肉への麻酔効果はないのか?」という検証テーマを設定し、さまざまな文献を挙げながら、解剖学的な視点で考察。検証結果として、「麻酔効果を期待できる可能性はあるが、解剖学的バリエーションや手技に大きく影響を受けるため、頬側を扱う場合には頬側への麻酔を追加するべきである」と結論を述べた。講演の最後には、昨年「the Quintessence」誌に1年連載したものを加筆・修正し、本年4月に上梓した著書『ビジュアル歯科臨床解剖』も紹介した。

 各講演中には聴講者から随時チャットにて質問を受け付け、「歯髄腔に麻酔をしないのは、痛いからか?」「不可逆性歯髄炎の診断において重きを置いているのは、どの検査法か?」「インプラント治療では基本的にCBCTは何回撮影しているか?」「広範囲の伝達麻酔の場合、他の部位にも奏功するのではないか?」といった臨床的な質問が数多く寄せられ、各講演の最後に演者らは1つひとつの質問にていねいに答えていた。

 なお、今後もこのようなオンライン講演会を不定期に開催していくとのことで、次回の第2回は6月13日(土)夜9時から開催予定。詳しくは、「嘉村田中岩永米国専門医.com」のFacebookページ(https://www.facebook.com/groups/290734714876731/)を参照されたい。