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2021年2月17日

日本臨床矯正歯科医会、第48回大会・静岡大会を開催

「連携と協働で拡がる矯正歯科治療」をテーマに

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 さる2月17日(水)、第48回日本臨床矯正歯科医会大会・静岡大会(片岡 護大会長)が「連携と協働で拡がる矯正歯科治療」をテーマに開催され、「専門性の高い矯正歯科治療においては、他科との相互理解は必要欠くべからざるもの」という考えに基づいた臨床セミナー、アンコール講演、スタッフ向けセミナーなどが行われた。当初は17日(水)・18日(木)に現地で行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、日本臨床矯正歯科医会のウェブサイト上でのオンライン開催となった。

 会長の稲毛滋自氏(神奈川県開業)と片岡大会長らによる開会の挨拶の後、各演者による講演が行われた。まず、菅谷 勉氏(北大教授)が「成人矯正における歯肉の炎症の許容性と外傷性咬合の危険性」という演題で講演した。成人矯正の場合、歯肉に炎症がある状態で強い咬合力が加わると不可逆的な歯周組織破壊が急速に生じることから、「炎症を十分に改善してから歯の移動を行う」のがセオリーである。しかし、現実には炎症や深い歯周ポケットがあっても歯の移動を行うほうが利点の大きい場合も多い。また、咬合性外傷で生じた骨吸収は、歯肉に炎症がないのなら、外傷性咬合が除去されれば正常に歯周組織が回復するといわれるが、炎症がないにもかかわらず不可逆的に骨吸収が生じ、強い咬合力が原因としか考えられない症例を経験することもある。氏は、こうした成人矯正において一般的にいわれているセオリーと現実のギャップに対して、歯周・歯内の観点から、臨床例や研究のレビューを交えて自身の知見を披露した。

 続いて、加持秀明氏(静岡県立こども病院形成外科科長)が「矯正治療が必要な頭蓋顎顔面疾患に対する外科的治療」について講演した。頭蓋顎顔面外科医として、先天性の頭蓋変形や中顔面変形、顔面非対称、口唇口蓋裂の原因や治療法を、多数の写真や図を交えて詳説。治療において、口唇形態や上下顎のプロファイル、スマイルラインの改善に矯正歯科治療が重要な役割を果たしていることを述べた。

 このほか、Eddie Hsiang-Hua Lai氏(台湾)による「Orthodontic considerations in gummy smile」、Jeong-Ho Choi氏(韓国)による「Al driven orthodontics: How far have we come?」などの海外招待講演にくわえ、伊藤智恵氏(宮城県開業)による「幼少期より放置された下顎第一大臼歯の咬合挙上レジンにより重度の開咬を生じた骨格性上顎前突症例」、大坪邦彦氏(東京都開業)による「下顎右側側切歯先天性欠如と右側第二大臼歯の鋏状咬合を伴う空隙歯列弓症例に対して自家移植を併用して治療した症例」といったアンコール講演、そして中原三枝氏(一般社団法人スタイリッシュパフォーマンス協会代表理事)や井上裕子氏(大阪府開業)によるスタッフ向けセミナーなども行われた。

 なお、本大会は28日(日)まで振り返り視聴に対応しており、19日時点で約300名が参加する盛況ぶりだった。