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2021年3月5日

第4回ソーシャル・スマートデンタルホスピタルシンポジウム開催

「地域AI歯科診療で超高齢社会DXの実現を!」をテーマに

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 さる3月5日(金)、オンラインミーティングプログラムのZoomにて第4回ソーシャル・スマートデンタルホスピタルシンポジウム(大阪大学歯学部附属病院主催、林 美加子病院長、以下、S2DH)が「地域AI歯科診療で超高齢社会DXの実現を!」をテーマに開催された。

 大阪大学歯学部附属病院では、2018年3月より「ソーシャル・スマートデンタルホスピタル構想」に着手。昨今のビッグデータやAI、さらにスマートシティなどのめざましい技術革新のもと、歯科医療も処置中心の医療から予防中心の医療へとパラダイムシフトが生じているなか、臨床と研究をつなぐ強力な機能を発揮し、歯科医療革新の時代をリードすることを使命としている。

 当日はまず、林 美加子氏(阪大教授)が開会の挨拶に立ち、その後、疋田陽造氏(吹田市歯科医師会会長)が来賓挨拶を述べた。つづいて、村上伸也氏(阪大教授)の座長のもと、「セッション1:地域AI歯科医療」が行われた。演題と演者を以下に示す。

「口唇裂・口蓋裂児の哺乳技術指導における情報ネットワークの構築~メディア教材を活用して~」熊谷由加里氏(阪大歯学部附属病院副看護部長)
「クラウド型・咀嚼運動スマホアプリの研究開発~“誰でも、どこでも、いつでも簡単に”を目指して~」十河基文氏(阪大教授)
「下顎智歯抜歯前評価支援システムの基盤研究」今井智章氏(阪大歯学部附属病院)

 なかでも、今井氏の発表では、下顎埋伏智歯抜歯における合併症を防ぐための抜歯前の評価支援システムを紹介。術者と患者双方がリスク認識を共有化することで、合併症を「正しく恐れる」ことが重要とした。

 つぎに、下條真司氏(阪大サイバーメディアセンター・センター長)の座長のもと、「セッション2:S2DH の成果と未来」が行われた。演題・演者を以下に示す。

「大阪大学の次期スーパーコンピューティングシステムSQUIDの概要」伊達 進氏(阪大サイバーメディアセンター・准教授)
「社会における歯周病 AI 活用へのロードマップ」柏木陽一郎氏(阪大)
「個別化がんワクチン療法に向けたAIによるネオアンチゲンの予測」山下慶子氏(日本電気株式会社AI創薬事業部シニアマネージャー)

 なかでも柏木氏は、スマートフォンで口腔内写真を撮影し、歯周病の重症度をセルフチェックできるAIアプリへの展開について紹介した。

 特別講演では、林氏の座長のもと、「スパコン富岳による飛沫・エアロゾルの飛散シミュレーションと室内環境における空気環境の可視化」と題して、坪倉 誠氏(神戸大教授、理化学研究所計算科学研究センター・チームリーダー)が講演。マスク素材の違いが飛沫飛散に与える影響や、飛沫飛散における距離・湿度の影響などのシミュレーションを紹介。大きな飛沫と小さな飛沫に分けた感染リスク低減対策が重要であること、基本は「行動状態」「時間」「距離」「換気」で決まること、リスク低減にかけるコスト・労力と、リスク低減効果のバランスが大切であるとまとめた。

 最後に、下條氏が閉会の辞に立ち、第4回シンポジウムは盛会裏に終了した。S2DHの今後の動向に注目したい。