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2021年7月10日

日本臨床歯周病学会第39回年次大会、Web配信にて開催

「歯周治療から始める健康長寿への道」をテーマに

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 さる7月10日(土)から、日本臨床歯周病学会第39回年次大会(鈴木道治大会長、高井康博理事長)が「歯周治療から始める健康長寿への道」をテーマに、7月25日(日)までWeb配信にて開催されている。

 本大会は、歯科医師セッションと歯科衛生士セッションに分かれ、特別企画講演や教育講演、臨床講演などおよそ14分野90項目が発表・紹介されている。教育講演では新型コロナウイルス感染症、予防、基礎疾患、摂食嚥下リハビリテーションについて、臨床講演では予防、歯周基本治療、再生治療について配信されている。

 特別講演では、小方頼昌氏(日大松戸歯学部教授)が「歯周組織の再生療法」と題して講演。再生療法における知見の1つとして、アメロジェニンを主成分とするエムドゲイン®ゲルの作用機序に関して、アメロジェニンがBSP(骨シアロタンパク質)発現を促進することでセメント質が合成され、再生が促進される可能性について講じた。また、村上伸也氏(阪大大学院歯学研究科教授)は「歯周病新分類の解釈とその応用」と題して講演。新分類は定期的な改訂が前提であり、すべての項目に対してデータを入力する必要はなく、そして歯周基本治療への応答、コンプライアンス、リスク因子の制御状態の評価結果に基づいてグレードを改変することは可能であると示されていると述べた。
 
 臨床講演では佐々木 猛氏(大阪府開業)による「吸収性膜を用いた安全で予知性の高い骨誘導再生療法」をはじめ、合わせて4題が講演された。その他、ケースプレゼンテーションやポスタープレゼンテーション、市民講座、企業協賛セミナー、インターナショナルセッションなども行われた。また、2020年に米国・ホノルルで開催予定だった第106回米国歯周病学会共催日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会2020年大会におけるポスターセッション最優秀賞(ケースレポート部門)の表彰動画も公開され、骨内欠損に対する歯周組織再生療法の新手法についてレポートした岩野義弘氏(東京都開業)の「New surgical approach for the treatment of periodontal intrabony defects」が最優秀賞を受賞した。

 本大会は同学会として初めてのWeb開催となった。歯周治療の概念が転換期に入り、従来の口腔の健康を目指すことから、QOL向上に寄与する認識に移行しつつあり、その観点から専門家や有識者による多様な講演が行われる場となった。