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2021年7月17日

日本顎咬合学会、公開フォーラムを開催

堀ちえみさんが口腔がんの早期発見・治療を訴える

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 さる7月17日(土)より、Web配信にて、第38・39回日本顎咬合学会学術大会 公開フォーラムⅠおよびⅡ(黒岩昭弘大会長、理事長)が開催された。

 公開フォーラムⅠは「超高齢社会における歯科の役割」をテーマに、上濱 正氏(茨城県開業)、南 清和氏(大阪府開業)らの座長のもと、河原英雄氏(歯科医師)による「『入れ歯』で噛む」、竹内孝仁氏(医師・日本自立支援介護・パワーリハ学会理事長)による「なぜ義歯を調整すると寝たきりが歩けるのか―脳と歯」、長谷川嘉哉氏(医師・医療法人ブレイン 土岐内科クリニック)による「認知症専門医が教える!脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!」、植田耕一郎氏(日大歯学部摂食機能療法講座)による「おいしく、楽しく、美しく 摂食能力の実力~認知症とのかかわり~」、油井香代子氏(医療ジャーナリスト)による「患者の期待を担う超高齢社会の歯科医療」がそれぞれ講演された。

 そのなかでも特に、認知症専門医の長谷川氏は、自身の認知症専門外来に歯科チェアを設置したところ、認知症患者の多くは歯科を受診しておらず、義歯も外さず、歯も磨いていないことを指摘。患者からの歯科受診の要望が多かったため同院の敷地内に歯科医院を開院し、現在は認知症外来と歯科を同日に予約し、セットで受診していただく体制を構築していることを報告した。認知症患者は歯科受診に拒否感があると思われがちだが、「ここち良い」と感じると問題なくメインテナンスは行えると、記憶や感情のメカニズムとともに実例を紹介しながら、歯周病が認知症にかかわることをふまえ、超高齢社会においては医科歯科連携がますます重要になると締めくくった。

 公開フォーラムⅡは「口腔がん」をテーマに、今井 裕氏(一般社団法人日本歯科専門医機構理事長)の座長のもと、柴原孝彦氏(東歯大千葉歯科医療センター)による「今こそ知りたい!口腔がん」、堀ちえみさん(歌手・女優)よる「口腔がんを乗り越えて~今だからこそ知ってほしいこと」、嶋田 淳氏(明海大歯学部付属病院)による「口腔がんの診断と治療」、垣添忠生氏(公益財団法人日本対がん協会会長)による「患者さんのQOLを重視したがん治療」がそれぞれ講演された。

 堀ちえみさんと今井氏の対談形式で行われた「口腔がんを乗り越えて~今だからこそ知ってほしいこと」では、堀さんの舌がんについて初期の所見、診断されるまで、治療、治療後のリハビリと今後の活動などについて詳細が語られた。堀さんは、口内炎に気づいた2018年6月より、合計4名のかかりつけ医師・歯科医師を受診したが、いずれも舌がんとの診断には至らなかったことを回顧。最終的には耐え難い痛みに苦しむなか、2019年1月にようやく舌がんと診断されたことなど、診断まで約7か月を要し、ステージ4までがんが進行していた経験を披露。堀さんは「がんは早期発見・治療が本当に大切」と述べ、口腔がんはがん全体の1~2%の希少がんながら、罹患すると患者のQOLに大きくかかわることから、定期的な検診の必要性、また口腔がん自体の認知度アップの必要性を訴えた。

 なお本公開フォーラムはオンデマンド配信が行われており、7月26日(月)まで視聴可能である。