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2021年8月22日

大阪大学歯学部同窓会、第542回臨床談話会を開催

北井則行氏が「混合歯列期における矯正治療を成功に導くために」をテーマに講演

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 さる8月22日(日)、大阪大学歯学部同窓会(谷口 学会長)による第542回臨床談話会が、大阪大学歯学部記念会館(大阪府)およびWeb配信にて開催され、92名が参加した。今回は講師に北井則行氏(朝日大教授)を迎え「混合歯列期における矯正治療を成功に導くために―成長発育・永久歯交換の観点から―」をテーマに行われた。

 北井氏はまず、乳歯列・混合歯列期の治療、すなわち第一期治療とは、「永久歯列期の矯正歯科治療の準備的な治療として上・下顎の成長・発育をコントロールし、そのうえで永久歯が正しい位置へ萌出してくるように誘導すること」と述べ、スキャモンの臓器発育曲線からわかる顎骨の成長や、上顎と下顎の成長の違いなどを解説した。

 その後は症例を中心に、骨格性の下顎前突および上顎前突、永久歯交換にともない発生する埋伏歯への対応を提示した。氏は、骨格性の下顎前突および上顎前突の対応において、「矯正歯科診療のガイドライン」で示されている装置別の推奨度も紹介。装置によっては成長期の骨格性の問題に対しては「弱い推奨」のものもあるが、各患者の状態や成長段階によっては効果的とされる装置もあること、また、第一期治療のゴールを何にするかで活用できる装置もあるとして、対応例を多数紹介した。症例提示の中で終始強調していたのは、成長・発育のコントロールの難しさで、とくに下顎骨の成長は装置を使っていても著しいとした。

 混合歯列期の埋伏歯の問題においては、原因が明らかなもの(過剰歯、骨性癒着、萌出スペース不足など)に対しては、原因を除去することで対応できるとした。埋伏歯は、場合によっては歯根吸収が起きてから発覚する場合もあり、各歯の萌出時期に関しての患者への啓発や混合歯列期のX線写真撮影などで早期に発見し、大きなトラブルを防ぐことが重要であると述べた。

 講演後に行われた質疑応答では、ライブ会場およびオンラインでの参加者より多数質問が挙がり時間をオーバーして行われ、盛況のうちに幕を閉じた。